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ロールスロイスが構築するエンジンの従量課金ビジネス

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JNEWS会員配信日 2021/5/27

 メーカー企業のビジネスモデルを、製品の販売から、使用量に応じて従量制課金する方式への転換は「Equipment-as-a-Service(EaaS)」として注目されているが、その仕組み自体は古くから存在している。

高級車メーカーとして知られるロールスロイス社は、航空機エンジンも手掛けている。現在の乗用車部門はBMWに買収されているが、航空機エンジンは自社開発を継続しており、ボーイングやエアバスなどの航空機メーカーに対して13,000基を超すエンジンが供給されている。民間航空機エンジンの市場では、ロールスロイス社(RR)の他に、ゼネラル・エレクトリック(GE)、Pratt & Whitney(P&W)の3社が世界のシェアを獲得している。

《民間航空機の業界構造》

ロールスロイス社の航空部門が50年以上の実績を持つビジネスモデルとして定着しているのが「Power-by-the-Hour(PBH)」と呼ばれる、サブスクリプション型のエンジン提供方法である。これは、エンジンの稼働時間毎に定額料金を請求する方法で、この中には、予備エンジンの提供、点検、部品交換などの費用が一式含まれている。

航空会社にとって、エンジンを含めた機体の整備コストは、経営面の大きな負担となっているが、純正品以外の部品で安価な整備を行うことは、重大事故のリスクも高くなる。しかし、PBH契約では純正交換部品の提供と整備作業代までが定額料金の中に組み込まれるため、常に一定のコストでエンジンを最適なコンディションに保つことができる。定期的な部品交換の実施により、エンジン・オーバーホールのサイクルも平均で25%延ばすことが可能だ。このような契約体系は、コロナ禍のように航空会社の経営が厳しい状況の中では、安全重視の面から特に重要になっている。

Rolls-Royce Power-by-the-Hour

 航空業界の例に限らず、企業が新たな設備や機材を導入するには多額の資金が必要になる。銀行融資やリース契約を利用するのが一般的だが、設備投資後の事業が成功するとは限らない。そこで、設備投資の負担が大きな業界では、ハードウェアを所有せずに、使用回数や使用時間に応じて料金を支払う、Pay-per-Use(従量課金型)サービスへの転換需要がある。

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