コロナ禍で躍進するオンライン学習アプリの集客ルート
リクルートが2012年から立ち上げている、オンライン学習サービスの「スタディサプリ(旧受験サプリ)」は、コロナ禍で急速に会員数を伸ばしており、2020年9月の時点では有料会員数が前年比100.6%の152万人となっている。
同サービスは、小中高校生を対象に月額1,980円の固定料金で映像授業と、ダウンロード可能な問題集を提供しており、授業を何度も視聴しながら自宅学習を進めていくことができる。授業コンテンツは全国の学習塾や予備校で活躍する有名講師との提携により4万本以上が収録されており、小中高生は自分の理解度に合った授業を探すことできる。
映像授業の自習だけ不安な場合には、担当コーチにオンラインチャットで学習内容の相談や質問ができる「個別指導コース(中学生)」や「合格特訓コース(高校生)」が用意されており、こちらは月額9,800円の設定。それでも、従来の学習塾と比べると、料金設定は革新的な安さといえる。
スタディサプリは、オンラインからの個別集客に加えて、学校向けの団体契約制度を設けていることも、有料会員数を伸ばす原動力になっている。学校向けに用意されている「スタディサプリ for TEACHERS」は、映像授業のコンテンツに加えて、各生徒の学習状況を管理できる機能や、教員と生徒がコミュニケーションするためのメッセージ配信機能がある。
1回目の緊急事態宣言が発令されて、多くの学校が休校した2020年4~5月にかけては、全国にある高校、約5000校のうち2500校以上でスタディサプリが導入されている。学校または自治体(教育委員会)単位でスタディサプリの団体契約をする場合には、生徒一人あたりの月額料金が980円に設定され、この費用は保護者側の全額負担としているケースが多い。
日本では文部科学省が「GIGAスクール構想」として、子供1人に1台ずつのPCまたはタブレット端末を整備して、オンライン教育の普及を進めているが、これによっても「学習塾」の役割は薄れていくことが予測されている。スタディサプリの団体契約にあるように、これからの小中高校生は、自宅で映像授業を視聴しながら、練習問題を解いて提出することが「宿題」となり、学習塾が中抜きされた形での、学校外教育市場が形成されていくためだ。
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