電気自動車(EV)の充電スタンドは1台につき30分の急速充電で約300円の収入で、1日に回転できる台数は限られるため大きな収益にはならない。その中でも運営者にとって有益なビジネスモデルを構築していくことが求められている。 (JNEWSについてトップページ
EV充電スタンドの採算構造とビジネスモデルの構築

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JNEWS会員配信日 2019/12/11

日本にあるEV充電スタンドの大半は、自動メーカー4社(トヨタ、日産、ホンダ、三菱)と電力会社(東京電力・中部電力)の共同出資で設立した「日本充電サービス(NCS)」によってネットワーク化されており、EVユーザーは共通の「NCSカード(有料)」を持つことで、全国各地の充電スタンドを利用できる仕組みが構築されている。NCSカードには、「急速充電器用」「普通充電器」「急速・普通併用」の3種類があり、月額会費+充電時間(分単位)の従量料金が課金される体系になっている。

NCSのネットワークは、日産・三菱・トヨタ・BMW・フォルクスワーゲン・テスラなどが発行するメーカー系充電カードとも連携しているため、日本のEVユーザーは、いずれかの充電カードを所有して、全国の充電スタンドを利用している。
カードを持たずに、ビジターとしての利用も可能だが、その場合には、充電単価がかなり割高になってしまう。

《NCSカードの料金プラン》

日本充電サービス(NCS)

一方、NCSネットワーク加盟の充電スタンド側には、充電収入として急速充電が1分あたり9.8円、普通充電は1.5円が分配される仕組みになっている。この単価設定により、急速充電スタンドがEV1台につき30分の充電をすると294円の収入だが、1日に充電できる台数は、ガソリンスタンドのように多くない。そのため、1日10台(月間300台)の充電稼働でも、月間8.8万円の収入にしかならない。

それに対して、急速充電スタンドの維持コストは、電気代、設備のメンテナンス費用、コールセンター費用、決済システムの通信費などで、月額20~30万円がかかっており、赤字を垂れ流している状態である。

《急速充電スタンドの採算構造》

ただし、これらの維持コストは運用の効率化により軽減できる余地がある。充電スタンドを設置する店舗施設では、充電収入以外で、集客力の向上による売上の上昇効果も狙えるため、トータルで充電サービスを黒字化できるビジネスモデルを構築することが、今後の課題であり、ビジネスチャンスにもなっている。

なお、日本充電サービス(NCS)は、「株式会社e-Mobility Power」という、東京電力60%、中部電力40%出資の新会社へ事業譲渡されることが、2019年10月に発表されている。今後のEV充電スタンド事業は、電力会社が先導する形で全国の設備をネットワーク化して、その傘下では自動車メーカーだけでなく、多くの企業がeチャージビジネスに参入できる方向性が描かれている。

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