中国向けヒット商品を作るとKOLマーケティング業界構造
ネットからインバウンド向けのヒット商品を作る上では、SNSの活用も重要な項目になっている。ただし、各国で利用されているSNSの媒体や情報投稿のスタイルは、それぞれ異なるため、現地で多くのフォロアーを既に獲得して、口コミの影響力が高いユーザーの力を借りる手法が使われている。特に中国では、政府当局の検閲により海外サイトのアクセスに規制をかけられる場合があり、中国内の口コミサイトやSNSを活用したマーケティングが主流になっている。
中国内で数十万人規模のフォロアーを持つインフルエンサーが「キーオピニオンリーダー(KOL)」として影響力を高めており、彼らが推奨する商品は売上が5割増~2倍以上に伸びる現象が起きている。
日本企業がKOLを上手に活用することで、商品の知名度を中国内に広げている事例は、化粧品、市販薬、健康食品、アパレルなどを中心に水面下で増えている。その方法は、自社のイメージや商品コンセプトに合うKOLを選定した上で、サンプル品を提供して、実際に使用した感想を記事や動画で投稿してもらう。
KOLによるマーケティングの効果は、フォロアーからのコメント数、Likeの数、お気に入り、クリックなどの行動回数(エンゲージメント数)によって評価される。たとえば、100万円の予算がある企業は数十人のKOLを選定して、商品サンプルを提供する。そこで、2000件以上のエンゲージメント数が獲得できれば、KOLマーケティングは、まずまずの成果という見方がされている。この場合、エンゲージメント1件あたりの獲得コストは500円(100万円÷2000件)ということになる。
○広告費用÷エンゲージメント数=エンゲージメント単価
ただし、このエンゲージメント単価が、そのままインフルエンサーに支払われているわけではない。日本からのKOLマーケティングでは、中国インフルエンサーとの間に、何重もの広告代理店や仲介業者が入っており、それぞれがマージン収入を得ているため、最終的に中国インフルエンサーで支払われている報酬は、エンゲージメント単価が100円前後とみられている。
このようなKOLマーケティングは、中国口コミサイトの「小紅書」「大衆天評」SNSの「Weibo」「WeChat」などを中心に行われている。日本向けのインフルエンサーとして人気が高いのは、中国で数十万人規模のフォロアーを獲得しており、かつ訪日経験も豊富な女性である。
たとえば、中国出身で日本に定住している林羊羊(リン・ヤンヤン)という女性は、Weiboの「林萍在日本」というアカウントで、530万人のフォロアー(中国ユーザー)に向けた情報発信をしている。投稿の内容は、日本の観光情報、人気のテレビ番組、日本で話題になっているニュース、日本の生活習慣など多岐にわたっている。誠実で丁寧な情報発信のスタイルであることから、日本企業からも多くの指名が付いている。
(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます → 記事一覧 / JNEWSについて)
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2019.12.19
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したJNEWS会員向けバックナンバー
・従業員インフルエンサーの育成によるブランド価値の高め方
・動画を集客ルートとしたライブコマースの特性と販売手法
・職業として考える「ユーチューバー」の労働生産性と収益構造
・Instagramから生まれるマイクロインフルエンサーの起業モデル
・Z世代から生まれる新たな買い物習慣とライブ配信者の影響力
・ネット社会の炎上が起きるメカニズムの解明と対策ビジネス
※バックナンバー用ID、PASSWORDを入力してご覧ください。
(ビジネスモデル事例)/(トップページ)/(JNEWSについて)/(Facebookページ)
これは正式会員向けJNEWS LETTER(2019年12月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。