満員電車解消策として自転車通勤者を増やす英国メソッド
英国ではコロナ感染対策として、政府が「公共交通機関の利用を止めて、徒歩か自転車での通勤」を奨励している。その公的支援策として導入されているのが「Cycle to Work」という、自転車通勤者向け助成制度のスキームである。もともとは、英国の労働者に健康的な通勤を促進することと、環境汚染の改善策として、1999年から存在する制度だが、新型コロナの流行により更に制度を充実させている。
Cycle to Workの仕組みは、英国の労働者が自転車通勤をスタートする際に、自転車本体と、ヘルメット・ウエア・安全装備などのアクセサリーを購入する費用を、雇用主の会社が立て替えるものである。雇用主の会社は、自転車の購入資金を公的融資によって調達することができる。
会社側は従業員に対して、自転車を貸与(リース)する形になり、レンタル料を1~4年の期間設定で、毎月の給与から天引きする。その間の自転車の所有権は会社側が持つことになるが、従業員は天引き期間終了後に、車両を返却するか、減価償却後の資産価値で買い取ることができる。英国の税務当局が定めた自転車価値は、購入から1年後は新車価格の18~25%、4年後は3~7%と算定しているため、長期でレンタルした後に買い取るほうが得な制度になっている。
さらに、Cycle to Workには、税制優遇の特典も付いているため、このスキームを利用した労働者は、年間に払っている所得税と健康保険のレートに応じて、実質25~35%の割引率で自転車を取得することが可能だ。そのため、高年収者ほど高価な自転車を購入したほうが割引特典は大きく、英国の自転車業界は、通期者向けに高級自転車が売りやすい状況になっている。
自転車の販路として、Cycle to Workには英国内の実店舗とeコマースを合わせて約2000の自転車販売業者が加盟している。英国の労働者は、自分が勤める会社がCycle to Workに加入しているかを確認した後、自転車販売店で希望の車種とアクセサリーの仕様を決めて注文すれば、自分で代金を払う必要は無く、自転車通勤を始められるのだ。
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