written in 2006/6/27
事例:Rollyo.com 他
いまサーチエンジン業界で話題になっているのが「グーグル八分(グーグルはちぶ)」と呼ばれる現象だ。これまでグーグルの検索結果として上位に表示されていたサイトが、ある日突然に検索一覧から消えてしまうという症状を表している。グーグル経由でのアクセスを集客の柱としてきた中小サイトがグーグル八分に遭うことは死活問題であるため、グーグルに対して不満を募らせるサイト経営者も出はじめている。
しかし消費者の側から見ると、現在の検索一覧が必ずしも信頼できる結果とは言い難い面がある。たとえば、アトピーの子供を持つ母親が効果的な治療法を探してネット検索するケースでは、その分野の名医が解説している治療法のページが最上位に表示されるべきであるが、実際には「アトピー」というキーワードで最適化をしているサプリメントの販売サイトが上位に表示されることも多い。
さらに近頃では、アフィリエイトを絡めた記事も厄介な存在として問題視されるようになってきた。個人ユーザーのブログでは自分の買い物経験からレポートされた商品レビューが人気だが、その情報発信の目的がアフィリエイト手数料の獲得であるとすれば、そのレビュー記事がどこまで信頼できるものなのか?という疑念が生じてくる。そのためサーチエンジンの検索ロジックは、アフィリエイトリンクが貼られたコンテンツの順位を下げる方向へと向かっている。
もちろんアフィリエイトと絡めた記事がすべて悪質というわけではないが、ネットでは誰もが自由に情報発信できるために、発信者が記事の書き方に多少慣れてくれば、巧みな文章で素人ユーザーを欺くことは容易だ。そのため、サーチエンジンの次の役割として、「信頼できる情報」と「信頼できない情報」の識別をすることが求められるようになっているのだ。そこでネット業界の新たなキーワードとして「トラスト(信用度)」が浮上している。先ごろ、グーグルが「トラストランク(TrustRank)」という名称を商標登録したことでも、その兆候は伺える。
インターネットの情報は玉石混交で、鵜呑みにするべからず、情報を受け取る側の注意深さが必要だとの論は多いが、いつまでも情報を受け取る側に責任転嫁していいはずはない。これからは、発信する側が信用度を築くことが厳しく問われるようになる。営利非営利を問わず、自分が発信する情報の信用度をどう高めるかの対策が、SEO対策に取って代わるだろう。それはまた、情報発信の在り方や取り組み姿勢を根本から覆すことになる。では、どうしたら自分のサイトが発信する情報の信用度を高めることができるのか、そしてそこにまつわる新ビジネスの商機について探ってみたい。
(海外ネットビジネス事例一覧へ)
●自浄作用に基づくウィキペディアの信用度
●グーグルが手本とする学術論文の信用判定システム
●学術論文における査読の仕組み
●学術誌が権威付けされるプロセス
●引用数によって判定される学術誌の権威
●専門家がサイトの優劣を判定するトラストサーチ
●健康情報に信用度を付与する検索エンジン
●自ら情報発信の敷居を高くする今後のネット戦術
●急速に普及するウィキ(Wiki)がネットビジネスに与える影響
●Web2.0のeコマース革命(検索エンジンが商品売買の場となる時代
JNEWS LETTER 2006.6.27
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