ゲーミフィケーションされる職場とVR研修教育
これからの社員教育のトレンドは、オンライン学習(eラーニング)の敷居をさらに低くした、ゲームによる研修教育が増えていくとみられている。特に、パートやアルバイトの従業員比率が高い業界ほど、ゲーミフィケーションの効果は高い。
ケンタッキーフライドチキン(KFC)では、全米で19,000人いる従業員を対象に、KFCの調理プロセスをトレーニングできるVRゲーム「The Hard Way」を2017年8月にリリースしている。このゲームでは、Oculus Riftのヘッドセットと手の動きを連動できるモーションコントローラーのOculus Touchを使い、バーチャル空間に現れる厨房でフライドチキンを作る5段階の工程を、楽しみながら実習できるストーリーになっている。
KFCでは、調理担当スタッフのスキルを向上させる目的で「Chicken Mastery Certification」という認定制度を設けているが、VRゲームは没頭性が高く、スキルの習熟速度を高める効果が実証されている。また、各地域の店舗を管理するゼネラルマネージャー、フランチャイズ加盟オーナー向けの研修プログラムでもゲームを体験させる。さらに、一般にもゲームを公開すれば、KFCの仕事に関心のあるユーザーを集めて、求人採用へと繋げることもできる
一方、小売業界でも米大手量販店のWalmart(ウォルマート)が、全米で100万人以上いる従業員向けにVRトレーニングの導入を決めており、2018年10月から各店舗に2~4台のVRヘッドセット(Oculus Go)を配置している。ウォルマートの店舗数は、総合スーパー、フードマーケット、ディスカウントストアなどを含めて、全米で5千店舗以上になることから、ヘッドセットだけでも17,000台以上の需要が生まれることになる。
ウォルマートでは、ネット注文した商品を店舗で受け取るピックアップ専用のマシン「Pickup Tower(ピックアップタワー)」の設置を進めているが、この操作方法をスタッフに習得させる方法として、VRトレーニングを採用する計画で、トレーナー人材を派遣することなく、無人で研修を実施することが可能になる。
■Pickup Towerの紹介映像
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