ホワイトカラー職の後方支援をするAIアシスタント
人工知能はホワイトカラー職の仕事を奪うという話は各所でされているものの、活用次第では、優秀なアシスタント役にすることができる。特に電話による接客やカスタマーサポートの業務向けには、AIアシスタントへの潜在需要が高く、実用化も進んでいる。
MITの卒業生によって開発された「Cogito(コギト)」は、カスタマーサービスの担当者を支援するアシスタントで、電話応答時の「顧客と担当者」両者の会話内容をリアルタイムで分析して、会話のスピード、話す量、感情などをモニターし、担当者のディスプレイ画面上に、顧客の怒りを静めたり、満足度を高められる話し方の助言を表示する。
管理職の上司は、Cogitoがモニタリングするデータを分析して、どの担当者が良い成果を出しているのかを把握したり、接客マニュアルの改善に役立てることができる。
従来のコールセンター業務でも、電話中の会話は記録しているが、会話の内容をチェックできるのは、全体の1%程度に過ぎない。管理職がすべての電話内容を把握するのは不可能なため、電話をしてきた顧客の満足度を高めるノウハウは、電話オペレーターの裁量に任されている。
しかし、CogitoのようなAIアシスタントを導入することにより、コールされた電話の100%をリアルタイムで分析して、顧客満足度のパフォーマンスを数値データとして管理できるようになる。
また、人材採用のリクルート業務においても、人工知能は採用担当者の有能なアシスタント役になる。企業向けのリクルート管理システムを手掛けるFirstJob社が開発した「Mya」は、応募してきた人材の書類審査を75%まで自動化することができる人工知能だ。
Myaは、書類審査を通過した応募者に対してメッセージ機能で対話をして、面接日時のスケジューリングも行う。会社の規則や仕事内容などについて応募者から質問があれば、自動で返答をすることもできる。
質の高い人材を獲得することについても、Myaがリクルートサイトや求人情報誌など、複数の求人媒体別に、「応募→書類審査→面接→合格」まで各段階の通過率を測定して、効果の高い媒体に、より多くの求人広告費を振り分けることができる。
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