JNEWS会員配信日 2015/5/21
膨大なデータを集約して分析することで革新的な進化が期待されるのは、医療の分野である。その中でも、死亡原因として最も高い「ガン(悪性新生物)」の治療にビッグデータ分析を導入すると、症例に応じた適切な薬や治療法を選定できるようになり、生存率を高められると言われている。
意外にも、医療業界ではガンの臨床データは共有されにくい状態のままだった。
それは、患者への病名告知やプライバシーの問題もあるためだが、治療技術の向上や、予防対策(罹患率の低下)を目的として、ガン患者の登録制度に関する法律(がん登録法)が、2013年の国会で成立している。
この法律により、全国の医療機関ではガン患者の情報を国のデータベースに登録する義務が生じることになる。患者に病名告知をしないケースでも、データベースには登録しなくてはいけない。
《全国がん登録データベースへの登録項目》
- 患者の氏名、性別、生年月日
- 届出を行った医療機関名
- がんと診断された日
- がんの発見経緯
- がんの種類と進行度
- 治療の内容
- 生存確認情報
ガン患者の登録制度は世界に同調した流れではあるが、このデータベースをどのように活用していくのかまでは明確になっておらず、データベース分析を治療や予防に結びつけられる技術が求められている。
ガンの治療や研究に投じられている資金は、世界で年間800億ドル(約9.6兆円)と推定されている巨大な市場だが、そこにIT関連の企業も食い込めることになる。
2012年にニューヨークで創業した「Flatiron(フラットアイアン)」は、ガンの治療に関する様々な情報をデータベース化して、医療関係者が共有できるクラウドシステムの開発を行っている。起業のヒントとなったのは、米国でも、ガン患者の4%しか臨床試験に参加しておらず、残り96%の患者に関するデータは、病院内や医師の手元に眠ったままで、情報共有がされていないことだった。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●グーグルが予測する流行ファッション
●アーティストのブレイクを察知するビッグサウンド分析
●データ収集を目的としたクイズコンテスト
●駐車場の空車スペースを埋めるビッグデータ分析
●オープンデータを活用したモバイルアプリ開発
●ビッグデータ分析で変革するガン治療
●分野に広がるIoTデバイス開発の潜在市場
●売れ残りチケットを収益化するビッグデータ分析
●スポーツ業界から学ぶビッグデータ分析ビジネス
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.5.21
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