多様なニーズと付加価値で成長する 米国のインスタント食品
written in 2011/10/11
日本と同様に米国の消費者も、食品の安全性や健康への影響に対する意識は高まっているが、経済的に余裕のある中流層以上の世帯になるほど、その傾向は強くなる。
それは、米国のスーパーでは、食品添加物や糖分や塩分の多い食品が多く並んでいることとも関係しており、経済的に余裕のある人達は、価格が高くても有機栽培で作られた野菜や、飼料や飼い方にこだわった牛肉、豚肉、鶏肉などを買い求めている。
そのため、自然食品やオーガニックフードなどを専門に取り扱う「ホールフーズマーケット 」のような専門スーパーが急成長している。同スーパーは、米国、カナダ、英国で270店舗以上を展開している。
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ただし、オーガニックの購入層は、誰もがそのような食材を手際よく調理する時間やスキルがあるとは限らないし、収入面で余裕がある人達ほど、夫婦共働きで忙しくしているものである。
また、米国の家庭では、子どもの通学や習い事に、車で送迎が必要なケースが多いことから、安全な食事を与えたくても、料理に手間をかけている時間がなかなか取れないという事情もある。
そこで、ホールフーズのような自然食スーパーでは、素材にこだわった惣菜の販売に力を入れており、持ち帰り用の他にも、買い物客が自分で選んだ惣菜をトレーやお皿にいれ、スーパー内に備え付けられた飲食コーナーで食べられるようにしている。昼食時にはサラリーマンの他、幼児を連れた母親などで賑わっており、夕食時には家族連れの姿も見かける。
それでも、忙しい主婦は、夕食時にスーパーへ行くことさえ難しい場合があり、これらの人を対象にしたのが、オーガニックの冷凍食品やレトルト食品などである。冷凍商品やレトルト食品は買い置きが可能で、食事時にあわててスーパーへ走る必要はなく、しかも素材にこだわったオーガニック食品でもあり、電子レンジやオーブンのスイッチひとつで健康的な食事ができることから、人気が高まっている。
もともと、米国で冷凍食品は人気があるが、それらの原料にもオーガニック食材を使った商品が増えている。オーガニック素材による夕食用一食分の冷凍調理セット(メインの肉系、サイドのポテト、野菜、マカロニなどがひとつのトレーに入ったもの)や、ブロッコリー、枝豆、ほうれん草などをカットした冷凍野菜も売られている。
また、電子レンジで温めるだけで、すぐに食べられる冷凍完成品として、ラザニア、ピザ、スープ、パイ、チキンナゲッツ、ハンバーガー、スパゲティなど。冷凍以外にも、オーガニック素材のレトルト食品として、パスタ、うどん、玄米ごはん、粉末の味噌汁などもある。
このようなインスタント・オーガニックは、有機栽培された食材に着目した起業家が、長距離の輸送や、長期の保存に適さないオーガニック生鮮品の欠点を解決する目的で、独自の加工食品として開発、成功しているケースが目立つ。
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JNEWS LETTER 2011.10.11
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