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  学校の現場では、教師が高齢化していることに伴い、体育や部活動の指導ができる教師が不足している。そのため民間の業者が「体育の先生」を学校に対して派遣するビジネスが成長しはじめている。
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体育の先生を派遣するビジネスと
部活動の外部委託事業の採算
written in 2007/10/3

 中学や高校の授業が終われば部活動で汗を流す。県大会や全国大会を目指して仲間達と厳しい練習に耐えたことが、後々となって人生の大切な思い出になる、というのは健全な青春の過ごし方だろう。ところがその部活動に異変が起こっている。部活の指導にあたるのは学校の先生で、その先生が名監督役を務めたチームほど強くなるというのが成功法則だが、近頃では部活の指導を“残業”や“休日出勤”と捉えて、その労働問題を訴える先生が増えているという。

公立の小中学校では、教員が放課後に部活の指導をするにあたって特別な手当は付けていない。その代わりに民間企業の残業手当にあたる“教職調整額”というものが月額給与に対して一律4%分上乗せされている。これは実際の勤務時間が長くても短くてもすべての教員に対して支給されているものだ。35歳で月給が38万円の教員ならば約 1.5万円の手当ということになる。ところが部活の顧問になっている教員は平日に加えて土日までの時間を指導に当てなくてはいけない。その時間数は月に約40時間と言われている。これを残業や休日出勤と捉えるなら、割が合わないというわけだ。これでは部活の指導に身が入らなくても当然といえる。

一方、全国大会で優勝するような私立学校の運動部では、教員以外が指導者になっていることが多い。これはプロの部活指導者とも呼べる人達で、甲子園の常連校になっているような野球部では、全国優勝の経験がある著名な監督を年俸1千万円以上で雇っていることもあり、選手ばかりでなく指導員までを優秀なメンバーで揃えているのだから、私立と公立の格差はますます開くばかりである。

この問題を公立学校でも何とかしようと、部活動の外部指導員制度を設ける学校も次第に増えている。これは部活動の指導員になってくれるスポーツ経験者を地域内から募り、指導員養成の研修を実施した上で監督やコーチ役になってもらうというもの。指導員の報酬は各学校によって異なり、無料ボランティアで行われているケースもあるし、1時間あたり 900円〜1500円程度が支給されることもある。いずれにしても公立学校の場合には外部指導員に払える報酬額の予算はそれほど多くない。それでも石垣島の八重山商工高校のように、教員以外の外部指導者が監督を勤めることで甲子園へ出場する成功例も出始めている。

学校教育の中には“正課教育”と“課外教育”とがあって、部活動やクラブ活動は後者に該当する。以前はその両方を教員が担当するのが当然のことだったが、近年では少子高齢化の影響で教員の平均年齢が高齢化してきていることもあり、課外教育(特に運動部の指導)まではとても無理という状況になっているのだ。

それがわかるのが以下の表だが、教員の平均年齢は民間企業に勤める社員の平均年齢よりも3〜5歳以上は高い。教員の高齢化と人材不足は、特に運動指導の分野で深刻な影響が出始めている。そこで考えられるのが、学校の教員が体育の授業や部活動の指導をするのではなく、外部の業者に指導を委託したり、指導員の派遣を受けたりという方法で、それが新たなビジネスとして注目されている。今回は“学校”という教育の聖域にも民間の人材サービスが求められている背景と動向について迫ってみよう。

《公立学校教員の平均年齢(歳)》
    小学校中学校高等学校幼稚園
    男性女性男性女性男性女性男性女性
    平成7年42.139.440.738.042.938.554.839.6
    平成10年42.741.241.239.143.839.452.040.7
    平成13年44.143.042.640.644.640.450.841.9
    平成16年45.341.143.941.745.341.148.342.5
 ※出所:学校教員統計調査より集計
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この記事の核となる項目
 ●子供の体力低下と運動指導者の不足問題
 ●子供の運動部・スポーツクラブ所属の有無と体力格差について
 ●体育の先生を派遣するビジネスの仕組みと学校向け人材派遣業
 ●幼稚園向け運動指導者派遣ビジネスの採算性
 ●小中高校に向けた人材派遣ビジネスの可能性
 ●先行する英語補助講師の派遣ビジネス
 ●部活動を外部委託する動きと地域スポーツクラブの収益事業化
 ●学校の部活動から地域スポーツクラブへのシフト
 ●地域スポーツクラブを収益化するアイデア
 ●欧米少年スポーツチームの収益モデル例


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