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  「ハーブ」とは薬効のある植物のことを指しているが、そこに明確な定義があるわけではない。そのため道端に生えている雑草でも、それに健康に良い効果が実証されると、人気が急上昇して商品としての価値が生じるようになる。
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ある日突然、雑草が金脈に変わる
ハーブビジネスの出発点
written in 2007/5/21

「できるだけ病院に通わずに病気を治したい」「薬を常用せずに症状を抑えることはできないだろうか?」そんな現代人の悩みを解消すべく様々な健康食品が登場しているのは周知の通り。さらに現代人の健康に対する悩みはカラダばかりでなく“心”にまで及び、癒しビジネスの市場を形成している。最近ではアロマテラピーのサロンも女性に人気だ。これは植物が発する香りが心身に与える影響を利用した自然療法である

健康食品とアロマは分野こそ異なるが、自然界に生息する植物から“体に良い成分”を抽出して商品化している点では共通したビジネスである。もっとも、どんな植物の中にどんな健康成分が含まれているのかについては諸説があり、新たな学説などが発表されると、その植物への需要が一気に拡大する。そのため昔はただの雑草でしかなかった植物が、ある日突然に価値が急騰することもあるのだ。植物が体質改善や病気の治療に使われるのは、東洋で「漢方」として有名だが、西洋でもそれが「ハーブ療法」としてにわかに注目を集めている。我々が植物から抽出して製造されたサプリメントやダイエット食品を購入して毎日飲むことも、じつはハーブ療法の中の一つである。

そこで「ハーブとは何か?」ということに興味を抱いてみると、健康ビジネスの奥深い商機が見つけられる。“ハーブ”が特定の植物名を表わしていると思い込んでいる人は意外と多いがそれは間違いで、じつはハーブの定義は明確ではなく心身に何らかの健康作用を与える植物の総称が「ハーブ」と呼ばれている。それは草だけでなく、果実や根っこ、花弁などの一部分をハーブと呼ぶこともある。また“ハーブ”という言葉がラテン語から来ているため欧米で生息している植物だけがハーブと思うかもしれないが、アフリカやアメリカ大陸、アジアと世界のどこにでもハーブと呼べる植物が存在している。中国の漢方薬として使われる高麗人参、日本のどくだみ、正月に七草粥として食べる“春の七草”や、インドのカレー、中国の八角などの香辛料もハーブである。また必ずしも強い香りがなくても、人体に何らかの作用を引き起こすものは、すべてハーブといえる。

健康ビジネスというと、サプリメントの販売やサロン経営などがイメージしやすいが、もっと健康市場の上流にある商機として、薬効のある植物を上手に活用し、独自商品の開発や新サービスに目を向けてみることは有意義だ。米国ではできるだけ病院や薬に頼らない“代替医療”としてハーブビジネスが急成長しているが、ここではやはりシビアなビジネスが繰り広げられている。
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この記事の核となる項目
 ●カレー粉から始まった日本のハーブビジネス
 ●植物を原料とした健康食品の欠陥と天然ハーブへのシフト
 ●高価な高麗人参が値崩れしてきた理由とは
 ●健康加工食品の宿命的欠陥と薬用植物(ハーブ)への着目
 ●民間療法として人気化するハーブビジネス
 ●ハーブ人材の教育ビジネスとハーブショップの経営モデル
 ●もう一つの商機:ハーブ専門家の養成ビジネス
 ●ハーブ資格認定団体のビジネスモデル
 ●ハーブショップに求められる商品の安全性について
 ●岩盤浴ブームの裏側にいる仕掛け人と石を売るビジネス
 ●間違った知識の氾濫で求められる食品情報のスペシャリスト
 ●玉石混淆の健康サービスが生き残るための医師との協業ビジネス


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