JNEWS会員配信日 2014/2/1
米国の19都市で展開されている「Lyft(リフト)」というサービスがある。Uberがタクシーやハイヤーと同等の配車サービスを提供しようとしているのに対して、Lyftは「ライドシェアリング(マイカーへの相乗り)」のコンセプトにより、米国のタクシー相場よりも3割以上安くなる交通コミュニティを目指している。
目的地まで移動したい利用者は、スマホアプリから近くにいる車を探して予約をするのは「Uber」と同じだが、Lyftに加入しているドライバーの大半は、営業ライセンスを持たない、アマチュアのドライバー達である。
法的な問題をクリアーするために、利用者はドライバーの愛車に相乗りをさせてもらい、降車時に“お礼”としてのお金を、ドライバーに寄付をする(カード決済)仕組みになっている。その金額は、利用者が任意で決めて良いが、Lyftのアプリが走行距離に応じた“目安の金額”を表示するため、それに従うのがマナーだ。Lyftでは、お礼の決済代行をして、その20%を手数料収入としている。
■Lyft http://www.lyft.me/
Lyftに登録して慣れたドライバーになれば、時給30ドル以上を稼ぐことが可能と言われている。しかも、自分の都合に合わせて営業時間を決めることができるため、副業としての人気が急上昇している。ただし、Lyft側は、ドライバーの質と安全性が維持されるために、何重もの対策を採っている。
Lyftに「ドライバー」として登録するため条件は、23歳以上で3年以上の運転歴があり、4ドア車(2000年式以降)を所有していること。iPhoneかアンドロイドのスマートフォンを使っていて、フェイスブックのアカウントも必要だ。Lyft側では、運転免許証と犯罪歴の身元審査をした後、ビデオ電話による面接を行う。
それをクリアーすると、車両検査、薬物使用の検査、約2時間の安全研修が行われる。
利用者からは、ドライバーの評価が5点満点で行われて、蓄積された評価の平均点数が「4.5」よりも低くなると、登録リストから消えていくシステムになっている。これらの審査〜評価システムにより、Lyftのドライバーとして仕事ができるのは、応募者に対して6%と言われている。
また、Lyftの利用者は、大半が「18〜35歳の女性」であることが、特筆すべき点として挙げられる。その理由は、通常のタクシーはドライバーが男性であり、女性客にとっては、安全面の不安があるが、Lyftは、ドライバーの性別や素性を確認してから、迎車の依頼ができるためだ。
そのため、Lyftのドライバーとして適しているのは「男性」よりも「女性」のほうで、以下のプロモーション映像も、女性客が利用する設定で撮影されている。
■Lyftのプロモーション映像 http://youtu.be/-ghcjvXVcSQ
Lyftのようなライドシェアリングは、日本でも普及すると便利になるが、法規制により、そのまま実現させることは難しい。自家用車が有料で客を乗せることは「白タク行為」として禁止されている。ただし、幾つかのポイントを押さえることで、類似のサービスを立ち上げられる可能性はある。
●タクシー利用率を高める支援サービスの動向
●タクシーに代わる相乗りサービスの普及
●ライドシェアリングで稼ぐアマチュア・ドライバー
●米国「Uber」「Lyft」のビジネスモデル解説
●日本でのライドシェアリングの可能性
●高齢者向けお抱え運転手・運転代行サービス
●プロドライバーとしてのライセンスと価値
●高齢者の生活を支えるフレキシブルワーカーと配車サービス
●身の回りの買い物をアシストするパーソナルアシスタント
●安全コストを意識したカーシェアリング事業の採算と転換期
●脱マイカー社会で変わる消費者の購買行動と商圏法則
●グレーゾーンを狙う有料送迎の実態とエスコートサービス
JNEWS LETTER 2014.2.1
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