JNEWS会員配信日 2014/2/18
新興国はインフレ率が高いことから、資産を「現金」で持つよりも、株式や不動産で保有していたほうが、値上がりする時期が続いていたが、2013年頃からは、中国でも金融引き締めの政策へと転換したことから、アジア富裕層の中では、新たな投資対象となる商品や地域を探す動きが活発になってきた。
その点からすると、アベノミクスによって「デフレからインフレ」への転換期にあたる日本からは、まだ“割安な資産”をたくさん見つけることができ、アジア富裕層からは有望な投資先に映っている。
株式や不動産の他に「嗜好品投資」への関心が高いのも、アジア富裕層の特徴である。経済成長の真っ直中にある新興国の消費者は、高級品への憧れや購買欲求が高いことから、高級車、宝飾品、貴金属、腕時計、美術品、年代もののワインなど、希少価値のある高級品を素早く購入しておき、値上がりを待って売却することが“投資”として成り立っているのだ。
購入した高級品は、自分が使った後に転売することもあるが、未使用のまま倉庫に眠らせておき、値上がりのタイミングを待っている。香港やシンガポールには、税関審査や関税が免除される「フリーポート(free port)」と呼ばれる倉庫施設があり、その中で売買が成立した取引についても免税になる。
美術オークションの老舗「クリスティーズ」も、アジア富裕層の嗜好品投資に着目しており、中国で美術オークションを開催することに加えて、シンガポールに「Christies Fine Art Storage Services (CFASS) 」というフリーポート施設を用意している。この中では、オークションで購入した美術品、骨董品、ワイン、宝石などを保管しておくことができ、契約者のプライバシーが守られ、コレクションの盗難や破損、劣化に備えたセキュリティも完備されている。
この施設は、富裕層がコレクションの値上がりを待ち、次の買い手を探すまでの保管庫として利用されており、購入希望者が現れた時には、施設内で内覧会を開催して売買取引ができるようになっている。
■CFASSのビデオ映像(ニューヨークにある施設)
●日本を訪れる外国人旅行者の購買特性
●アジア富裕層が着目する日本の魅力について
●アジア富裕層が物色する次の投資先とは
●希少な高級品に着目した嗜好品投資の動向
●アジア国際都市として日本を飛躍させる視点
●REIT相場からみた日本の不動産市場
●外国人ビジネスマンを誘致するビジネス
●オリンピック開催を追い風にした都市開発と観光ビジネス
●世界金融緩和の膨張マネーを争奪するファンド業界
●REIT(リート)を活用した不動産投資の仕組みと利回り
JNEWS LETTER 2014.2.18
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