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  不況の影響により、高級ブランドメーカーの売上は伸び悩んでいることから、巨大資本による買収が相次いでいる。その一方で、安価で本当に良い製品を小規模で制作する家内制メーカーが見直されている。
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高級ブランド崩壊
再構築による家内制職人ビジネスへの回帰
written in 2012/2/10

 欧州経済の混乱〜不況は、ブランドメーカーの買収や経営統合の動きも加速させている。日本でも有名な欧州ブランドの多くは、資本力のある投資会社やコングロマリットに対して、会社を売り渡しており、実際の経営や販売戦略は、各ブランドのファンや顧客にとって、馴染みの薄い親会社によって行われている。

たとえば、イタリアの高級バッグ「Gucci(グッチ)」は、フランスの流通大手資本である「Pinault-Printemps-La Redoute(ピノープランタン・ルドゥート(PPR)」の傘下に入っているが、このPPR社は、その他にも「イヴ・サンローラン」、「セルジオ・ロッシ」などのブランドも所有している他、世界的なスポーツ用品ブランドの「PUMA(プーマ)」や、映画「007」でジェームス・ボンドが愛用している高級紳士服の「Brioni(ブリオーニ)」なども、2011年に巨額の資金で買収した。



アパレルや宝飾品などのブランド業界では、このPPR社に加えて、「ルイ・ヴィトン」「セリーヌ」「クリスチャン・ディオール」などを所有するLVMH(モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン社)、「ダンヒル」「カルティエ」「ピアジェ」などを所有する Richemont社(リシュモン)が、有名ブランド買収の世界の三大勢力と言われている。

ピノープランタン・ルドゥート(PPR)
 ※所有ブランドの一例
 ・GUCCI(グッチ)……バック
 ・Yves Saint Laurent(イヴ・サンローラン)……アパレル
 ・sergio rossi(セルジオロッシ)……靴
 ・PUMA(プーマ)……スポーツ
 ・Balenciaga(バレンシアガ)……バッグ

モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH)
 ※所有ブランドの一例
 ・Louis Vuitton (ルイ・ヴィトン)……バッグ
 ・BVLGARI(ブルガリ)……時計、宝飾
 ・LOEWE (ロエベ)……バッグ
 ・CELINE(セリーヌ)……アパレル
 ・Christian Dior(クリスチャン・ディオール)……化粧品
 ・GIVENCHY (ジバンシー)……化粧品

リシュモン(Richemont)
 ※所有ブランドの一例
 ・dunhill(ダンヒル)………アパレル、宝飾
 ・Cartier(カルティエ)……時計、宝飾
 ・LANCEL(ランセル) ……バッグ
 ・Piage(ピアジェ)……時計、宝飾

このように、有名ブランドが次々と買収されている背景には、欧州、米国、日本などの先進国が不況に陥り、高級品の売上が伸び悩んでいることがある。売上不振は在庫過多に直結するが、ブランドメーカーは、商品価値を維持するためにディスカウント販売することはタブーである。

そのため、表向きの華やかさとは裏腹に、ブランドの価値を崩落させずに生き残ることはかなり厳しく、資本力のある巨大企業へと飲み込まれていくのだ。買収する側の目的は、先進国では人気が陰り始めているブランドでも、新興国へと進出すれば、新富裕層の顧客を掴めるためである。

 こうしたブランドメーカーの買収〜統合は、老舗の職人達が長年かけて培ってきたモノ作りの伝統を壊して、生産性の向上や効率化へと向かっている。欧州の高価なブランド品も、じつは「中国で生産されている」ことが珍しくない。

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この記事の核となる項目
 ●はじけたスペインの建築バブル
 ●建築バブル崩壊のシナリオ〜失業者の大量増加
 ●公的サービスの崩壊〜国が医療費支払いを滞納
 ●公共事業の代金未払い〜商取引の信用不何
 ●スペインから学ぶ、国の財政破綻が及ぼす影響
 ●相次ぐ有名ブランド買収の動きと、その背景
 ●欧州の高級ブランド品も、じつは中国産だった
 ●見直される家族経営による職人ブランド企業
 ●地元の職人技を強みにした世界展開モデル
 ●日本の黒ニンニクを世界に売るスペイン農家との共同ビジネス
 ●悲惨指数からみた不満への衝動と世界で深刻化する失業問題
 ●円高を追い風にしたスモール貿易の起業と有望商材の発掘法
 ●一億総中流が崩壊した日本における相対的貧困者の実態


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JNEWS LETTER 2012.2.10
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