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飛行機セールスの利権が火付け役となった
航空会社の業界再編
written in 2010/9/16

 欧米の格安航空会社(LCC)が勢力を拡大してきたのは1990年代後半からのことだが、それ以前は、世界のメジャー航空会社や旅行代理店(約250社)を組織化する「IATA(国際航空運送協会)」が航空運賃の価格を高止まりさせるための、仕切り屋的な存在になっていた。

もともと、世界の航空業界は、第二次世界大戦後に軍用機が民間機へと払い下げられて、国策として各国の航空会社が設立された経緯があるため、航空運賃の決定権も、各国の政府が握っており、その調整役としてIATAによる価格協定が結ばれていたのだ。

しかし、終戦から30年が経過した1970年代からは、昔のシガラミを持たない新興の航空会社(IATA非加盟)が登場しはじめて、それまでのように航空運賃を政府やIATAがコントロールすることは難しくなっていった。

その他にも、航空業界には国と国との間で航路の開設や、空港の使用に関する様々な協定が存在しているが、それでは国際経済の成長を妨げるということで、米国が航空自由化の規制緩和を進めたのが1980〜90年代にかけてのこと。

ただしこの自由化には、米国製の航空機を世界に売りたいという利権が絡んでいる。航空機の販売シェアは米国が牛耳っており、1機あたり1億〜2億ドルする旅客機を売ることは、軍事産業と並ぶ巨大ビジネスなのである。

ところが、2001年の同時多発テロをきっかけとして、旅行者の数は大幅に減少して、世界に深刻な航空不況が訪れた。それまで、会社の経費で割高な航空券を購入していた法人客が、出張をテレビ会議などに切り替えたことなどが影響して、経営が悪化したり、破綻する航空会社が相次いだ。それが業界再編へと繋がり、新興の格安航空会社(LCC)が台頭する背景になっている。

《戦後からの航空業界の流れ》

 ●1940年代:第二次世界大戦の終了。
 ↓
 ●国による軍用機の払い下げ → 民間機への転用
 ↓
 ●政府による航路や航空運賃の管理 → 大手航空会社間の価格カルテル
 ↓
 ●航空運賃が高いと乗客が増えない → 航空機が売れない
 ↓
 ●航空自由化、規制緩和の実施(航空機販売の利権絡み)
 ↓
 ●同時多発テロ、金融危機、IT革命などが影響した航空不況
 ↓
 ●大手航空会社の経営悪化や破綻 → 会社の身売り、航空機の売却
 ↓
 ●身売りする航空会社を買収した格安航空会社(LCC)の台頭

開業当初は数台の中古機からスタートしたLCCも、最近では投資ファンドがスポンサーとして付くことで、豊富な資金を持つようになり、ライバル社を買収して勢力を拡大するケースが相次いでいる。近年の航空業界は、200社が経営破綻して300社が新規参入するというような乱世の時代に突入しているのだ。

その中では、LCCといってもビジネス客をターゲットに最新鋭の機体で快適な座席を提供することと並行しながら、1000円以内の激安運賃が実現されている。欧州各国で就航するライアンエアー(Ryanair)では、ロンドンと、イタリア、ドイツ、ノルウェーなどを結ぶ路線を、片道6ポンド(約780円)という激安料金で販売する。



これは常に固定された料金ではなく、各便の空席状況に応じた目玉商品として売りに出される座席のセール価格といえるもの。通常の旅客機は、座席数に対して7割程度の乗客で運行しているが、残りを空席のままにするのではなくて、目玉商品として激安価格で売れば、新規の顧客を呼び集めることができる。この発想を更に進めて、空席をタダで提供する「フリーシート」のキャンペーンも、LCC各社の新たなマーケティングとして流行しはじめている。

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この記事の核となる項目
 ●格安航空会社(LCC)のビジネスモデル
 ●なぜ格安航空会社は登場してきたのか?
 ●軍用機の払い下げから始まった航空業界の歴史
 ●LCCが1千円以下で航空券を売るための仕組みと採算
 ●世界の経済を変える格安航空券の影響力
 ●航空貨物にも押し寄せる新ビジネスの波
 ●日本ブランドの生鮮野菜を中国に出荷する売る新ビジネス
 ●eコマースのグローバル化と個人輸入の未開拓市場
 ●米国から日本への国際送料を下げるノウハウ開発
 ●航空貨物を活用した高級ワインの輸入代行ビジネス
 ●日本からの中国ネットビジネス参入に向けた視点の磨き方
 ●ネットによって国境を楽々と越えるサービス貿易の動向と影響


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