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「いつものやつ」をリピート販売する コーヒー業界に学ぶ |
written in 2008/7/11
馴染みの喫茶店に行き「いつものね」と言えば、マスターはオーダーを聞き返すことなく、いつもと同じメニューを出してくれる。意外なことに、喫茶店に通う常連客の8割方は、いつも同じメニューを繰り返しオーダーするのだという。近年ではコンビニや自販機に押されて「喫茶店」は斜陽の業態だが、それでも生き残っている店は「人件費の負担が低い(マスターとその家族が中心の経営)」「家賃の負担が低い(自己所有の店舗)」「安定した固定客がいる」という点で共通している。
どんな業界にも言えることだが、商売を長続きさせるための秘訣は「同じ顧客に対して同じ商品を売り続ける」ことにある。もちろんその過程では、客を飽きさせないための努力や工夫が必要になるわけだが、定番の商品をリピート販売することが安定収益に繋がるのである。
逆に、一時的には人気が急上昇しても固定客として残らないビジネスでは、次から次へと新製品を投入していく必要があるために、広告やマーケティング費用ばかりが嵩んで“儲け”の勝ちパターンを作ることが難しい。「商品を一度購入してもらったら、顧客との関係はそれでおしまい」という商売では、3年、5年先までの見通しがまったく立たない。そこで家電量販店などでは、顧客にポイントを発行して固定客を作ることに力を注いでいる。しかしポイントは本来、顧客に払い戻すべき“お釣り”を店側が預かっておくようなもので、「そのポイントを使いたければ次回も来てくださいね」という売り方は、あまりスマートとはいえない。
またネット販売は、実店舗よりもマーケティング活動がしやすいことからリピート率が高くて、成功しているショップでは新規客の5割以上が2回目以降の注文をしている。しかし3回、4回とリピート回数が増すほど固定客は目減りしていく傾向は顕著だ。検索エンジンが高機能化することで“もっと安いショップ”が見つかると、容易に購入先を乗り換えてしまうのがネット消費者の心理である。
そこで新たなリピートの方法として注目されているのが、自動プログラムによる販売システムである。たとえば、家庭のキッチンで毎日使う米や味噌が無くなりそうになると、自動的に「いつものやつ」を注文する情報がショップ側に送信されて、翌日には配達されるサービスがあれば、主婦は“在庫切れ”の心配から開放される。このような在庫管理〜注文発注が自動化されたシステムは、企業と企業の倉庫を結んだ物流では既に普及しているものだが、家電製品のIT化により一般家庭でも実現することは可能になっている。すると食品メーカーやスーパーマーケットでは、食材の不足分が自動的に発注される冷蔵庫を各家庭に無償でレンタルしても採算が合うようになるかもしれない。それに限らず、今後は自動化された販売システムとして「いつものやつ」をリピート注文させることが、ビジネステーマになりそうだ。その動向と参入のポイントを見ていくことにしよう。
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JNEWS LETTER 2008.7.11
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