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  本を売るなら紙よりも電子出版のほうが儲かるという図式が成り立ち始めている。モノとしての制作コストがかからない電子書籍なら、代金のすべてが販売者の収入になるため、部数は少なくても十分な儲けになる。それを見込んで、優れた原稿を電子化するための利権争いが激しくなってきている。
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紙より儲かる電子書籍ビジネスの利権争いと
新たな販売手法
written in 2007/6/15

 活字離れというが、いまどきの若者は小説に夢中だ──といってもケータイでの話である。女子高生など若い女性層を中心に、ケータイで読める小説が初めてヒットしたのは今から6年ほど前だが、今では出版社以外の異業種からの参入もあり、ケータイ作家としてデビューする若い女性も増えている。発売一週間で百万部に達した作品もある。ほとんど一般には知られていない作品がそんな短期間でミリオンセラーに達することは、今までの書籍出版の常識を覆している。書店にはあまり行かない女子高生でもケータイ小説ならワンクリックで購入することができるのだ。

ケータイ小説を含めた電子書籍の市場は急成長していて、2006年の市場規模は94億円。これは前年比で約2倍に達しているという(インターネット生活研究所調べ)。その内の半数が携帯電話向けだ。電子書籍はパソコンや携帯電話にダウンロードして読むが、これはiPodで音楽をダウンロードして聴くスタイルに相通じるものがある。実際に、iPodでも音楽と同じように書籍をダウンロードして読めるサービスの可能性も取りざたされていて、本を画面上で読むことが当たり前になる時代は目前といえそうだ。

そんな時代に改めて注目されるのが“原稿を売る”というビジネスである。これまで、自分が書いた原稿を売るためには紙製の本を出版することしか方法がなかったが、電子書籍としてネットやケータイで作品を売ることができるようになり、原稿の売り方に革命が起こっている。いまだに「ネットで有料テキストは売れない」と言っているのは、電子出版ビジネスに携わっていない人ばかりで、実際には電子出版で億単位の金を稼ぐ人達も登場してきた。これは最近のマンガ家から多数の億万長者が登場している構図と似ている。

知的欲求が豊富なオンライン消費者が電子書籍に求めるのは、巧みな文章力や文学的な評価よりも、その作家でしか知り得ないような“経験”や“知識”などの情報であることのほうが多い。最近の若者は分厚い本をカバンに入れて持ち歩かなくなった代わりに、マンガ化されたストーリーの中で気軽に情報や知識を吸収しようとする傾向がある。だからマンガはベストセラーになりやすいのだが、電子書籍(ebook)についてもその傾向がある。手っ取り早く情報を吸収するという目的では、分厚い紙の本を何日もかけて読むより、簡便にまとめられた電子ブックを購入したほうが効率的という価値観だ。

そこで最近では、プロの小説家やマンガ家、カメラマンなども、電子書籍の出版ビジネスに乗り出しているが、それに加えて、素人が電子書籍の販売をサイドビジネスとして手掛けるケースも増えている。そうは言っても「素人にお金を得られるだけの原稿が書けるのか?」という疑問が生じるが、じつは自分が原稿を書かなくても電子書籍が出版できる仕組みというものが存在している。わかりやすい例として『わたしはこの方法で1億円を稼ぎました』という類の情報商材(これも電子書籍の一種)が、ネットのあちこちで販売されているのを見かけるようになった。しかし現実には、そんなに多くの億万長者が登場しているわけではなく、これを仕掛けているのはごく少数の人達に過ぎない。ではそれがどんなカラクリになっているのかを解き明かすことで、電子書籍の革新的な売り方に迫ってみることにしよう。
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この記事の核となる項目
 ●紙より儲かる電子書籍ビジネスの利権争いと新たな販売手法
 ●電子ブックリーダーによる電子書籍の利権争い
 ●常識にとらわれない電子書籍の新しい売り方
 ●電子書籍の古本ビジネスは成り立つのか?
 ●アフィリエイトよりも儲かる?リセールライトビジネスとは
 ●リセール権付き電子ブックの販売システム
 ●柔軟に生み出すリセールライトの種類と活用方法
 ●マスターリセールライトによるマンガ本の売り方
 ●ゴーストライターからリセールライト作家への転身
 ●プライベートライトによる原稿販売の流れ
 ●貸与権の明文化で拡大するレンタルブック事業への参入商機
 ●アグリゲーターが変えるコンテンツ業界と知的権利の流通機能


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