独自性を重視したメールマガジン・コンテンツの書き方

JNEWS会員配信日 1998/3/15

メールマガジン運営の中で他誌との差別化をはかる上で重要なノウハウがコンテンツの作成方法である。雑誌と異なりビジュアルイメージで購買意欲を高めることができないテキスト形式のメールマガジンでは「文章の力」で読者達を納得させる他はない。

そのために最も重要なのが「コンテンツテーマの選び方」や「独自の視点、切り口」となる。これが他のメールマガジンや雑誌、新聞と大差がなければ自らが運営するメールマガジンの存在理由が見あたらないことになってしまう。

JNEWSが提供するビジネス情報の「存在価値」を多くの読者に認めてもうために創刊(96年5月)から約1年間の無料配信時代には「情報の信頼性」「情報の速さ」「情報の個性化」をコンテンツの中に反映させるための試行錯誤が続いた(今でも続いているが・・・)。その中で得たノウハウを紹介しておこう。

取材方法の徹底分析

他誌とのコンテンツの差別化を図るためには、他誌のコンテンツ制作方法(取材方法)を徹底研究して、それとは全く異なった取材方法でコンテンツを制作することである。ビジネス情報のケースで考えてみよう。

ビジネス雑誌や新聞が記事を制作する場合には、記者が対象となる企業に取材をおこなうことから始まる。その場合、企業の受付窓口や広報担当に電話をして担当の部署を紹介してもらって取材をするのが一般的な手法だ。または各企業から編集部に届く「プレスリリース文書」からおもしろい案件を探し出して、具体的に取材する方法もよく使われる。

しかしこれら定番取材手法によって書かれたコンテンツはライバル他誌と似たような出来映えになってしまう傾向がある。企業側では複数のメディアに対して取材対応をしているケースが多いがその場合には、取材側企業担当者は各取材記者に対して同じ話をしている。同じ取材ソースから情報を得ているのであればコンテンツが似てくるのも当然の話だ。

そこでJNEWSでは他メディアとの差別化戦略として96年から「独自の取材網」の構築に力を注いでいる。その一番最初の情報ソースとして狙ったのが「銀行の融資審査部門」である。衆知の通り銀行には様々な新規事業プランや融資案件が集まってくる。またあらゆる業種にわたり正確かつ迅速な企業の決算・財務データが蓄積されているのも銀行なのだ。

(余談ではあるが企業の決算書には節税を目的とした「税務署用決算書」と融資を目的とした「銀行用決算書」の2通が一社で存在することもよくある話。)

新規事業立ち上げる際の企業の広報部が「非常に将来性は期待できる」とのコメントを発表したとしても、それは客観的に信頼性の高い情報とは言い難い。自社の事業を軌道に乗せるためのマスコミ戦略として「大風呂敷をひろげている」ケースも珍しくないためだ。

しかしそんな場合でも銀行審査部では正確な情報や業界の裏事情を把握していることが多い。もちろん個別企業の詳細情報を外部に漏らすことは守秘義務となるために許されていないが、各業界の景気動向や新規事業トレンドなどはいくつかの銀行の審査部員と話をしているだけでも、かなり信頼性の高い情報は得られるのだ。

もちろんオフィシャルな窓口では銀行はこの種の取材を受け付けてはくれない。しかしこの情報ソースをモノにしなければJNEWSが他誌と差別化したコンテンツを提供できるこはないと考えていた。JNEWSの協力スタッフ(情報ブレーン)として数名の銀行関係者が加わってくれたのは、それから数ヶ月先(96年秋)のことである。

この最初のノウハウ構築によって創刊から間もなく2年になろうとしている今では銀行以外にも数多くの独自取材網が確保できるようになっている。

コンテンツの書き方

「独自の視点」を売り物にしたコンテンツを制作するためには文章にもこだわりを持つ必要がある。「記事の書き方」については様々な考え方があり「正解」を見つけ出すことは難しいが、これについても他誌を真似することなく独自路線でいくべきだ。

JNEWSでは記事執筆に関しては外部ライターに任せず編集部ですべてを担当している。情報ブレーンからはユニークなビジネス案件がメールやFAXなどで毎日のように送られてくるが、その中で記事として採用されるのは約1割。それ以外の案件については過去の記事とコンセプトが似ていたり他誌で既に扱っているネタであるために「ボツ」となってしまう。

また採用となった案件についても情報ブレーンからの原稿をそのまま掲載することはない。その原稿の中から客観情報を分解して必要な取材をおこない、その後、編集部側で「JNEWSとしての視点」を加えた記事をおこすようにしている。
非常に手間のかかる作業ではあるがコンテンツのクオリティを高い位置で維持するためにはこの方法が一番なのだ。記事執筆者毎の「文章表現力の違い」は執筆者の変動によりメールマガジン自体のクオリティが大きく変動してしまう要因になってしまうことを覚えておきたい。

これは雑誌業界関係者から学んだノウハウであるが、「人気の高い雑誌の多くは1名とか2名といった少人数による記事執筆をしている」という事実とも合致している。

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