メールマガジンが目指すべきコンセプトの重要性

JNEWS会員配信日 1997/12/15

メディアを運営していく上で一番重要となるのが「コンセプト」である。これは紙媒体の雑誌や新聞であろうとホームページやメールマガジンであろうと同じこと。つまり「何のために情報発信をするのか」「誰のために情報発信をするのか」という目的が定まっていない情報配信サービスは「購読者数」という数字だけに執着した挙げ句の果て、読者から飽きられて衰退の一途をたどることにもなりかねない。

そこでコンセプトを主張するために重要となるのが「情報の絞り込み」と「読者の絞り込み」だ。購読人数が増加するほどに様々な客層が存在することになり、それら個々が違った情報を求めているためにすべての人に対して満足度の高い情報提供をすることは難しくなっていく。この現状は特に無料購読制のコンテンツにいえる現象だ。

JNEWS LETTERでも96年5月~97年5月までの無料配信時代には同様の現象が生じていた。当時の購読者層は

  1. 企業経営者
  2. 将来的に独立起業を目指すサラリーマン
  3. 在宅ワークを希望しているSOHO
  4. 企業のインターネット・ビジネス事業担当者
  5. ビジネスに関心のある一般インターネット・ユーザー

といったことろだが、その割合は 1.~4. までが約5割、そして 5. が約5割という状況だった。

JNEWSのコンセプトとしては 1.~4. のユーザー層に照準を合わせたコンテンツを提供しているつもりだが、全体の約5割を占める 5. のユーザー層をどう意識するのかがポイントとなる。無料購読者数を増やすことだけに執着するならば一般の人達にもわかりやすいコンテンツを書くことによって 5. の人数を増やすことも可能だが、それでは専門性が薄れて 1.~4. のビジネス意欲の高い人達にとって面白みのないサービスになってしまう。

ここで方法論としては無料購読制で広告収入を期待するために、一般レベルのコンテンツで定着させるか、有料購読成にしてプロ志向の強い情報提供サービスにするのかという2つの選択肢に分かれていく分岐点を実感していた。つまり「無料 or 有料」の運営方法の選択はコンテンツのコンセプトを主張していくという目的において重要な役割を果たすことになるのだ。

「コンセプトを守るために読者層を絞る」か「購読者数獲得を最大の目的としてあらゆるユーザーを受け入れる」かはメールマガジン運営者にとって必ず訪れる関所となるはずだが、結果としてJNEWSでは有料制の道を選択したのである。

テレビメディアとインターネットメディアの違い

既存メディアの誕生から衰退までの歴史をたどることで、インターネットメディアの発展過程を占うことはある程度可能だ。

既存メディアの中での最大勢力は「テレビ」だが民間放送では無料制、国営放送(NHK)では有料制によって運営されているがテレビメディアを分析する上で重要なチェック項目となるのが「視聴率」である。

広告収入によって運営されている民間放送では何よりも視聴率を気にする傾向が強く、視聴率が稼げない番組は、社会的に意味のある番組でさえも短期打ち切りとなってしまう。特に夜のゴールデンタイムの番組内容は各社視聴率競争が強烈で、コンセプトについてはどの放送局、番組をとっても二の次となっている傾向が強い。この辺りは広告収入によって支えられているメディアの宿命と言えるのかもしれない。つまり民間テレビ放送は「コンセプトよりも視聴率重視」型なのだ。

インターネットメディアでの広告収入依存型サービスでもテレビ放送の広告運営方法と比較検討されその方向性を推進する向きが強いが、ここで気を付けておかなければならないのが「許認可制」の有無である。

ご存じの通りテレビ放送局を開業するためには郵政省の放送免許が必要となるが、その免許を交付してもらうためには相当の設備投資と様々な準備が必要となり新しい全国ネットの放送局を作ることはまず無理だろう。そのために既存のテレビ放送局のみが全国の視聴者を独占することによりCM放映収入を牛耳っており、それが広告収入依存型サービスの押さえどころになっている。

もしもテレビ放送局が低コストで誰でも参入可能であるならば、その数は激増し広告スポンサー獲得合戦は熾烈を極め広告料金の価格破壊が必ず生じるはず。
その結果、広告収入のみによる運営方法が衰退していくことになるだろう。

このテレビ業界の仕組みを踏まえた上でインターネットメディアを考えると「許認可・規制」がないことに対する自由を歓迎する反面で、自由であるが故にライバル急増に対する危機感を持っておかなくてはならない。広告メディアとして生き残れるコンテンツは決して多くないはずだ。

しかしメールマガジンについて考察すれば広告メディアとしての無料購読制では存続が難しくても、有料購読制ならば十分に存続可能というメディアも多く存在する。一般的なインターネット・ビジネス論ではメールマガジンについては「無料購読制」よりも「有料購読制」のほうが運営が難しいように思われがちだが、実はこの理論は正しくはないとJNEWSでは考えている。次回はその根拠について解説してみたい。

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