読者アンケートの重要性とそこから得られた貴重な情報

JNEWS会員配信日 1997/12/3

購読料金設定のため97年1月に企画した読者に対する電子メールアンケートは大きな反響となって編集部の元へ返信されてきた。そしてその一つ一つの回答結果からははっきりとした読者の意識を確認することができたのだ。

アンケート結果から学んだ事

アンケート回収率40%(回答数約1200)の中で特徴的な結果を紹介してみよう

あなたは今までに読んだJNEWS LETTERの内容をどう思いますか。
という質問に対しては全体の90%以上の人が「良い」と答えてくれていた。正直いってこの結果にはJNEWS編集部にとっても大きな驚きとしか言いようがなかったが、一方でインターネット・ユーザーの情報に対する欲求の高さと、日本経済新聞のような既存媒体の利便性と内容は評価しながらも、それとは違った視点でインターネットの特性を活かした情報提供団体の存在を求めている声を大きく感じ取ることができた。

電子新聞主催者にとって自分達のコンテンツに対する評価というのは非常に気になる部分だが、果たして真剣に読まれているのかどうかという事さえ、運営側では確認できないでいる。なかなか「怖くて聞けない」というのが本音であろう。しかし勇気を出して読者達にコンテンツを診断してもらうことは、何よりも客観的な評価となり、現状の問題点と今後の方向性を決めたり修正するには最高の資料となるという事をJNEWSでは身をもって体験したわけだ。

ここまでは嬉しいアンケート結果となったが、次の質問に対しては大きく頭を抱えることとなる。

月額1000円の料金体系をどう思いますか。
の質問に対して、全体の90%以上が「高い」という反応を返してきたのだ。

JNEWS側の月額1000円の算出根拠としては

  1. JNEWS LETTERの配信(月10回)
  2. 電子メールによる事業相談
  3. ビジネスパートナー募集支援
  4. インターネットワークへの求職掲載
  5. 起業家プレスリリースボードへの情報掲載
の5つのサービスを合わせての料金提案であり 2~3 の作業にかかるコストを考慮した上での設定だった。

しかし読者からの意見としては

  • 「JNEWS LETTERの配信」のみをもっと安い価格で提供し 2~3 については別途料金制にすればよいのではないか。
  • 個人読者の料金をもっと安くして、法人読者の料金をもっと高くすればいい。
  • JNEWS LETTER内に広告を入れることで、購読料をもっと安くすべきだ。
など様々な内容が寄せられた。

読者側のコンテンツ料金に対する感覚

ありがたいことにアンケート回答には、質問に対する返答だけではなく読者からの様々なメッセージが記載されており、この部分にもインターネットが双方向制メディアとして優れている点を実感することができた。

そのメッセージを分析することでインターネットユーザーがコンテンツに支払う料金感覚についてのヒントを学ぶことができたので紹介しておこう。

< 電子新聞・購読料の基準値 >

インターネット上すべての電子新聞はインプレス発行の「Internet Watch」と比較されている傾向が顕著。有料化するにあたってはInternet Watchの質と料金設定に沿った運営をしなければ、インターネットユーザーの賛同を得ることは難しい。
※ただし情報量に関して「Internet Watchは多すぎて読めない」という意見が大半を占めていた。

< コンテンツ料金捻出のユーザー意識 >

インターネットユーザーは、パソコン関連に費やす経費をすべて合算して考えている。つまりインターネットを利用するまでには「パソコン本体」「ソフトウエア」「モデム」「プロバイダー費用」「電話料金」の優先順位で経費が費やされている。そしてコンテンツ料金を支払うならば、その次の順位となる。「パソコン本体」~「電話料金」までで年間何十万円というコストをインターネットにつぎ込んでいるユーザーにとって、更にコンテンツ対して月額数千円の料金を支払うことは大きな負担となるようだ。

そしてプロバイダーへの接続料金が平均して月額2000円である点も、無形のコンテンツの価格設定をする上では考慮に入れておいたほうが良いだろう。

< 有料コンテンツは他メディアがライバルとなる >

インターネット上でコンテンツを購入する場合に、ユーザーが比較検討するのは他のインターネット・コンテンツ(電子新聞)だけではなく、紙媒体の雑誌や新聞である点に注目しておかなければならない。月500円の料金体系ならば同じ500円の月刊誌と比較してどちらが役立つか考えるのが消費者意識であるようだ。

また紙媒体の新聞の月間購読料が約3000円と計算すると、1日あたりの新聞代金は100円と算出できるが、それと比較して電子新聞を購読するかどうかを検討しているユーザーも多い。

< 量と質と頻度 >

それぞれの電子新聞が評価されるとき、その評価基準となるのが量と質と頻度である。JNEWS LETTERの場合は月10回の配信で1回のLETTERには概ね3本の記事を掲載するようにしているが、この「情報量」と「頻度」に関しては読者側からはあまり反対意見は出ていない。逆に情報量が多くなることで、記事の質が落ちることを嫌がる読者層が多かったのが注目点。

電子新聞のジャンルにもよるが、インターネットユーザー達はメールでの情報提供に対して「量の多さ」は余り求めていない。これは大量に文章を読むならばパソコンのディスプレー上よりも紙面の方が便利なことは否めないからだろう。やはり電子新聞発行人が努力すべきは「コンテンツの質の向上」にあることを読者達は教えてくれている。

そして電子新聞に期待されているもう一つの評価基準が「情報の速さ」だ。
通常の雑誌では最新号として書店に並んだ時点で掲載されている情報は、新しくても1ヶ月以上前のものになってしまう。これは取材後の記事執筆から出稿、印刷、製本、流通という経路があるために紙媒体では仕方のない事だが、電子新聞にはその欠点がない。「どれだけ新しい情報が掲載できるかへの挑戦」が各電子新聞の進むべき方向性へのヒントとなるだろう。

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