労働者の賃金が下落していく一方で、経営者の年収は最近の10年で急騰している。それが社内の不協和音を起こす要因になっていることから、すべての社員が株主となり、会社の業績が伸びるほど報酬も高くなる仕組みが考案されている。
すべての社員で共同経営するオーナーシップ企業の作り方

JNEWS会員配信日 2016/9/4

 日本の上場企業で年収1億円以上の報酬を受け取った役員は、2015年には411人となった。米国には及ばないものの、日本でも1億円プレーヤーの経営者が増えてきている。

その一方、労働者の平均年収は 417万円で、企業業績が上向いたことの恩恵はほとんど受けていない。国内の役員報酬最高額を稼ぐ、日産自動車のCEO、カルロス・ゴーン氏(約10億円)と、一般サラリーマンとの所得格差は「240倍」にもなるのだ。

世界では、経営者と労働者の賃金格差がさらに拡大しており、労使問題の新たな火種になりつつある。OECDのデータでも、最近の10年で経営者の報酬額が急上昇していることが裏付けられている。

《世界各国の経営者報酬伸び率》

※2000年の経営者報酬を100とした推移を比較

  2000年 2005年 2009年 2010年 2011年 2012年 2013年
米国
カナダ
英国
ドイツ
フランス
イタリア
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
100.0
121.6
126.8
128.6
102.2
120.0
124.2
132.9
148.6
148.0
111.1
134.7
138.6
135.9
153.9
152.7
114.3
138.3
140.1
141.7
161.6
154.7
119.2
142.1
142.1
146.9
168.7
158.6
123.8
145.0
142.1
151.0
174.9
164.1
127.2
146.8
141.4
※出所:OECD Database

米国では、アルバイト人材の最低時給を15ドルにまで引き上げる労働運動が活発化しているが、この背景には、経営者との賃金格差に、労働者が不満を抱いていることがある。米大手企業のCEOが年間に受け取る平均報酬額は、約640万ドル(約7億円)にもなるが、これでは企業利益の分配方法が不公平ではないか?という声が広がっている。

こうした不満を解消するため、株式を利用した報酬制度で従業員のモチベーションを高める仕組みが注目されている。

米アップルでは、直営の小売店で働く時給店員を含めたすべての従業員を対象に、同社の株式を賞与として与える制度を発表している。この制度では、アップルが“優秀”と認定した従業員に対して、1,000~2,000ドル(10~20万円)に相当する株式がボーナスとして与えられる。しかし、この株には譲渡制限の期間が設けられており、数年間働いた後でないと売却、換金できない仕組みになっている。その前に退職をすれば権利を失うため、有能なスタッフの離職を食い止める効果がある。



このような、株式を利用した報酬制度は、経営者や役員に対しては、以前から導入されてきたものだが、一般の従業員にも導入する動きが出てきている。上場企業に限らず、スタートアップ企業や中小企業でも、「株式報酬」を導入することにより、経営者と一般社員との連帯感を深めて、業績向上への目標を共有することが可能だ。その仕組みがどのようなものかを解説していきたい。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。レポート本編では、従業員株主制度の仕組みやメリット、デメリットについて解説しています記事一覧 / JNEWSについて

JNEWS会員レポートの主な項目
 ●給与制度の見直しと新たな株式報酬
 ●幹部役員向け株式報酬の仕組み
 ●従業員株主制度の特徴と長短について
 ●米国における従業員株主制度の解説
 ●経営者と従業員による共同経営スタイル
 ●従業株主への利益分配モデル
 ●スタートアップで重要な株式の分配方法
 ●共同創業者が適正な持ち株比率を算定する項目
 ●創業仲間と揉めないための株主間対策
 ●シェアリング経済で求められる利益分配の健全性
 ●M&Aで評価されるスモールビジネスの価値と経営者の出口戦略
 ●ステップ別に考える起業資金の調達方法とベンチャー事業の実現

この記事の完全レポート
 ・JNEWS LETTER 2016.9.4
 ※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
 ※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ

(起業家の成功法則) / (トップページ) / (JNEWSについて)

これは正式会員向けJNEWS LETTER(2016年9月)に掲載された記事の一部です。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料による情報提供をメインの活動としています。 JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。

JNEWS LETTER 2週間無料体験購読

配信先メールアドレス

※Gmail、Yahooメール、スマホアドレスの登録も可
 
Page top icon