JNEWS会員配信日 2014/9/13
自ら会社を立ち上げたオーナー経営者には「定年」が存在していない。中小企業庁の調査によると、中小企業の経営者が引退する平均年齢は70歳前後だが、亡くなる直前まで現役を貫いている人の割合も高い。
自分の体力と気力が続く限り、働き続けられるのは、サラリーマンには無い利点だが、やがて“引き時”は訪れる。経営者は自らの引退方法を考えておくことが大切だが、他人に迷惑をかけない選択肢は、以下の3種類が考えられる。
《オーナー経営者引退の選択肢》
(1)後継者に事業継承をする。
(2)会社を健全な形で廃業する。
(3)会社を他社に売却する。
オーナー経営者は、できるだけ近い親族を跡継ぎにしたいという気持ちが強いのが世界に共通した特徴だ。経済産業省が、国内の中小企業3万社に対して行ったアンケート調査でも、事業継承をした会社で、息子や娘、それ以外の親族を新経営者としたケースは、全体の7割以上にもなる。しかし、親族が跡を継いで会社が良くなるケースばかりではない。
(2)の「健全な廃業をする」という選択肢は、取引先には迷惑をかけないようにして、銀行からの借入金を完済、従業員の再就職先も世話してから会社を畳むことだが、それは現実的には難しい。従業員にとっては、会社が存続することを望むため、他社とのM&Aによって、中小ビジネスの流動性を高めていくことも、地域経済を衰退させないためには必要になる。
米国では、スモールビジネスの起業者が増えているが、その反対側では、ビジネスを売却できるマーケットが形成されているため、イザという時には会社や店舗を手放すことによって、身軽になることができる。取引先との関係や、従業員の雇用は新しい経営者へと引き継がれる。
創業者がビジネスを手放す理由は、年齢(高齢)や健康不良などの他、新たな設備投資や資金が必要となるタイミングで事業を譲渡したい、あるところまで軌道に乗せた事業を売却して、次のビジネスにチャレンジするケースなど様々だ。
一方、スモールビジネスの買い手となっているのは、新規で起業を考えている人の他に、個人投資家や大手企業も、優良な案件を物色してきている。
ただし米国でも、中小ビジネスの売買が成立するのは、案件に対しておよそ2割であり、すべてのビジネスが売れているわけではない。では、どんなビジネスが高値で売ることができるのかを知っておくことは、経営者が自分の会社の価値を高めていくための指針になる。
IT業界では、グーグルやフェイスブックなどが派手な企業買収によって、次々と新ビジネスを自社の中に取り込んでいるが、中小ビジネスの売買も次第に活発化してきてきている。トムソン・ロイターによると、米国では、5000万ドル以内(約5億円)の中小ビジネス売買の取引額は年間で1270億ドル(約1兆3千億円)という規模で、今後も伸びていく見通しだ。
その背景として、家族経営のファミリービジネスは、親族への事業継承を重ねることで、会社の生存率は著しく低下することが、統計的に明らかになっている。
大まかな数字として、創業者(一代目)から息子・娘(二代目)への継承による生存率は40%、孫(三代目)への継承で12%、ひ孫(四代目)への継承をして会社が存続しているケースは3%に過ぎないと言われている。
■この記事の主な項目
●高値が付く中小ビジネスの特徴について
●M&Aの買い手が評価する会社の付加価値
●特定業種に特化したビジネス売買プラットフォーム
●副業希望者へのターンキービジネスとは
●フランチャイズビジネスのリモート経営モデル
●大手が欲しがるスモールメーカーのブランド力
●10年後に生き残る新興企業のサバイバルレート
●フードブレナーとしての事業計画と新たな資金調達のスタイル
●ネットビジネスをリセール売買する市場と優良物件の特徴
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2014.9.13
※アクセスには正式登録後のID、PASSWORDが必要です。
※JNEWS会員のPASSWORD確認はこちらへ
■この記事に関連したバックナンバー
●苦しくても廃業できない経営者の事情と会社の資産価値
●見直される"職人の仕事"と後継者育成〜事業継承に絡む商機
●廃業希望者と開業希望者を結びつけるマッチングサービス
●ネットビジネスをリセール売買する市場と優良物件の特徴
●M&Aで評価されるスモールビジネスの価値と経営者の出口戦略
|