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クラウドファンディングで変化する
中小企業の資金調達モデル
JNEWS会員配信日 2013/10/14

 中小企業が、新規事業や設備増強のための資金を調達する方法としては、銀行からの借り入れが定番だが、金融庁からの自己資本比率規制により、銀行は無理にリスクをとって、中小ビジネスへの融資はしない「貸し渋り」が起きていることは周知の通り。

そこで経営者は、株式上場をして金融市場から資金を直接調達できるようにするのが理想だが、国内の上場企業は 約3,500社で、日本にある会社数(約177万社)からすると、0.2%に過ぎない。

そこで、視点を変えた資金調達の方法として「少人数私募債」を発行する手段がある。つまり「社債の発行」だが、大企業が証券会社を通して、投資家を広く募集する「公募債」とは異なり、少人数私募債は、引受先を「50人未満」に制限することと、調達資金が1億円未満という条件により、社債の発行手続きを簡略化することができるものだ。

少人数私募債の発行は、地域の自治体でも商工振興のため、中小企業向けに推奨しており、社債の引受人に支払う金利の一部を補助する助成金が支給されることもある。

《少人数私募債の仕組み》

 

《少人数私募債の特徴(発行会社にとっての利点)》

 ○担保を用意する必要がない。
 ○償還期日や金利を自由に設定できる
 ○分割返済ではなく一括返済のため、毎月の資金繰りに余裕が生じる
 ○社債発行の手続きが容易
 ○株式への出資とは違い、社債の引受人には議決権が無い

引受人のリスクについては、社債全般にいえることだが、もしも、その会社が倒産した場合に、元本は保証されない。そのため、中小企業の私募債を引き受けてもらえるのは、経営者の親戚、社員の家族、仕事で密接なつながりのある取引先などの縁故者に限られてくる。

しかし、「社債」という仕組みは、次世代の金融サービスとして進化させていくことが可能で、それが、ネットビジネスとしても注目される「クラウド金融サービス」とリンクしている。

2012年以降、米国や英国では、クラウドファンディングが法的にも認められるようになったことから、このセクターへの投資が活発になり、新たな金融サービスが次々と登場してきている。上場企業未満の会社でも、個人の投資家から小口の資金を広く集めて、事業資金として活用できるようにすれば、それが雇用の促進にも繋がる。

日本でも、欧米を手本にした、クラウドファンディング推進への法改正は検討されており、中小企業が資金調達できる選択肢は増えていくことになりそうだ。しかし、クラウドファンディングの輪郭は、まだ曖昧な部分が多いことから、今回は、従来の「社債」との比較をしながら、これから「借り入れ」がどんなスタイルへと変化していくのかも見ていきたい。


この記事の核となる項目
 ●社債投資を進化させたクラウド金融の視点
 ●高利回り+安全性を確保したソーシャルレンディングの仕組み
 ●消費者向けソーシャル金融の投資効果
 ●ソーシャルレンディング投資の注意点と可能性
 ●プロの投資で成長する株式発行型クラウドファンディング
 ●保証人制度改正で浮揚する新たなマイクロ金融の取引モデル
 ●虚勢を張り続けるヘッジファンドの投資成果とビジネスモデル
 ●フェイスブックの成長を支えた株式セカンダリー市場のカラクリ


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