written in 2012/6/22
日本で「労働者のストライキ」が活発に行われたのは1960〜80年代前半のことで、ちょうど高度経済成長期にあたる。ピークとなった1974年(昭和49年)には、全国で
5,211件のストライキが行われて、360万人以上の労働者が参加していた。その頃と比べると、現在はストライキの件数、参加人数とも1%以下にまで減少している。
《ストライキ件数の推移(日本国内)》
ストライキは、主に賃上げ交渉を目的に行われてきが、1990年代以降はバブル崩壊、景気の長期低迷により、企業の体力は急速に衰えて、労働者もストライキどころでは無くなってしまった、というのが実情だろう。いまでも、労働組合の数は2万6千団体、約1千万人の組合員がいるが、その活動は次第に形骸化してきている。
「労働者」といっても、働き方や職種の形態は、時代と共に多様化してきており、一つの組合として統率することには無理が生じている。その代わりに、今はネットを使えば、会社に縛られることなく、同じ価値観を持つ者同士が繋がることができて、その声をSNSで広げれば“新たな世論”となり、政治を動かせるまでになってきた。
立場が弱かった若者や失業者も同様で、スペインから端を発して欧州各地に広がった「15M運動」や、米国の「ウォール街を占拠せよ(OccupyWall
Street)」などのデモ活動が、2011年後半から起こってきた。いずれの参加者も、フェイスブックやツイッターで連携を取りながら行動しているため、最初は数十人からスタートした小さな行動も、アッという間に数十万人の規模にまで拡大している。
その動きが加熱すれば、暴力が伴う行動(暴動)へとエスカレートすることも懸念されるが、参加者の大半は、冷静で平和的な行動の中で、自らの主張を訴えているのが特徴。こうした行動は「スマートモブ(Smart
mob)」と言われている。この言葉には、「スマートフォンを駆使しながら行動する群衆」という意味もあるが、じつは、10年ほど前から、「スマートモブ=ITを駆使した賢い群衆」として、やがて彼らが、大きな行動力を持つようになるだろうと、経済学者の間で注目されていた。(映像は、スペインで行われた15M運動の様子)
VIDEO
活動に参加しているのは、知的な人達が主流で、暴力ではなくITツールを活用した言論や協業によって世界を変えようとしている。それは「クラウド」のキーワードとも重なる部分があり、ビジネスの現場で、これまで大企業が独壇場としてきた市場を、個人の連携により、もっと効率的でリーズナブルなサービスとして再構築しようとする動きとリンクしている。
(起業家のための成功法則一覧へ )
●世界に広がるスマートモブ〜フラッシュモブの動き
●スマートモブの特徴〜開催の流れについて
●ファッションモブから生まれる流行スタイル
●ファストファッションが展開する新たな流行の広め方
●キャッシュモブによる地域経済の活性化
●地域マネーを循環させるキャッシュモブの目的
●スーパーコンピューターを超えはじめた群衆の力
●個人の能力が労働者の職を奪うことになるシナリオ
●悲惨指数からみた不満への衝動と世界で深刻化する失業問題
●欧州女性が挑戦するファッショニスタの道と新ブログ文化
●みんなの共同作業で解明する市民科学とクラウド社会の輪郭
●ネットビジネスの現場で調達されるオンデマンド労働者の実態
●自分の専門知識を収益化するオンラン副業プラットフォーム
JNEWS LETTER 2012.6.22
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