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有限責任事業組合(LLP)設立による
共同事業立上げの新たな形
written in 2005/7/23

 複数のパートナーを募って共同事業を立ち上げた後に、パートナー同士でトラブルが生じることは珍しくない。その多くは、各パートナーの能力や事業に対する貢献度と、その事業から得られた利益の分配方法との間に納得しがたい矛盾が生じているような場合だ。しかし現行の株式会社では、各パートナーの権利の強弱は仕事への貢献度よりも、出資比率によって決まってしまう。そのため出資額の少ないパートナーは、どれだけ事業の成功に貢献しても、それに見合うだけのリターンが得られないという欠点がある。

例えば、小さなベンチャー企業と、年商1千億円を超える大企業とが共同出資で新会社を設立してロボットの研究開発にあたるような場合には、技術力ではベンチャー企業のほうが勝っていたとしても、出資比率では大企業に適わないため、技術が実用化されて生み出される利益の大半は大企業のものになってしまう。

このような“資本の原理”がパートナー連携による共同事業の推進を阻んでいるとして、2005年8月から「有限責任事業組合(LLP)」という事業体制度が施行される。有限責任事業組合(LLP:Limited Liability Partnership)は、株式会社と組合組織の利点をあわせ持つ事業体として、欧米では多数設立されているものだが、今後は日本でもLLPによる柔軟なジョイントベンチャーを立ち上げることが可能になる。LLPの仕組みは、ややわかりにくいため、どんな事業に対して“株式会社”よりも適しているのかを考えてみたい。
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この記事の核となる項目
 ●有限責任事業組合(LLP)の仕組み
 ●LLPによる新規事業立上げの利点とモデル
 ●LLPによる企業と大学ベンチャーの提携例
 ●中小企業が新たに開拓すべき直接金融による事業資金の集め方
 ●改めて問われる株式上場の長所と短所、上場を目指すことの意義
 ●未上場企業の株をめぐるトラブルと"死に体"企業の転売ゲーム
 ●企業買収時代の防衛策として見直される「有限会社」の隠れた特性


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JNEWS LETTER 2005.7.23
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