毎月の売上変動を予測する季節指数の求め方
どんな商売でも季節によって売上の変動は生じる。俗に「2月と8月は商売が暇な時期」と言われているが、販売する商品カテゴリーや客層、立地条件によって繁忙期と閑散期の傾向が店毎に異なるのは当然だ。
しかし自分の店の季節変動を十分に把握している経営者は意外と少ない。景気の良い時には「前月比○%の売上増加」という数値に踊るが、経営状態が本当に上向いているかどうかは季節変動を考慮しなければ判断できないため「前年同月比○%の売上増加」という比較をするのが本当は正しい。
コンビニのように売上の情報管理が行き届いている業界では、過去の売上データから毎月の売上変動傾向を「季節指数」として店毎に分析している。来期の目標販売高を設定する際にも季節指数を考慮して月毎の売上予測を立てることで、仕入リスクを減らしたり、従業員の確保やローテーションにも役立てている。「来月は何をすべきなのか」を教えてくれる季節指数の分析は小売業者にとって重要な経指標なのだ。
一見すると難しそうに思える「季節指数」だが簡単な方法で算出することができる。POSを導入していない小売店やオンラインショップでも電卓や表計算ソフトを活用すれば来期の目標売上額を月毎に設定することも難しくない。それを小売業の財務指標と比較することで、業界平均との差異を把握することができる。
【季節指数の求め方】
統計学的に季節指数の算出方法は一つではないが、ここでは最も簡単な方法を紹介してみよう。
過去4年間の累計年間売上高が7億 3,759万円、4年間の4月期累計売上額が 5,274万円であれば、4月の季節指数は(5,274万÷7億3,759万×100)により7.2%となる。この様にして12ヶ月分の季節指数を求めたのが下記の表である。過去4年間における各月の売上変動傾向が明確な数字で見えてくる。
【季節指数を利用した販売目標の立て方】
過去の売上実績から季節指数を算出できれば、その値を将来の年間売上目標額に掛け合わせることで各月の販売目標値を立てることができる。
信頼性の高い季節指数はショップの売上が安定軌道に入ってから求める必要がある。特に開店初年度の売上は変動が激しく不安定であるためデータとしては活用できない。
季節指数の分析は、実店舗とeコマースサイトの両方に通用するもので、自店独自の傾向を把握することにより、売上の減少が予測される時期には、広告やマーケティングによる、販促のてこ入れをすることにも役立つ。
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