日本に求められるシェアサイクル事業はエコと営利を両立させたもので、中国のように営利だけを追求したモデルとは異なる。その点では、欧米で普及している自治体と連携したシェアサイクル事業が参考になる。
エコと営利を両立させるシェアサイクルの方向性

JNEWS会員配信日 2017/9/19

 シェアサイクルの文化は、もともと非営利の社会事業として欧米で広がり始めたもので、中国でのブームは、それとはスタンスが異なっている。中国で大勢を占めるドックレス型のシェアサイクルは、専用の駐輪ステーションを持たないため、歩道などに放置される大量の自転車が新たな問題となっている。

シェアサイクルの採算は、自転車のメンテナンスや不法放置の見回り、回収にどの程度のコストをかけるのかによっても変わってくる。乗り捨て自由なのがドッグレス型の利点ではあるが、やはり各所に駐輪スペースを設けるなどの対策も必要になる。日本で普及させるには自治体の協力が不可欠で、さらに言えば、運営母体を自治体にしたほうが好都合だ。

そこで参考になるのが、米ニューヨーク州で2010年に創業した「SocialBicycles (SoBi) 」の事業モデルだ。同社は世界で初めて、自転車本体にレンタル機能のすべてを搭載したシェアサイクルの仕組みを開発した会社で、自転車を公共の交通手段にしたい自治体や大学などに対して、シェアサイクル用の自転車と管理システムを提供している。


SoBiが開発した自転車(ソーシャルバイク)には、GPS対応のロック機能が搭載されている他、荷台の部分にディスプレイ付きの通信デバイスが装着されているのが特徴。利用する時には、デバイス画面上に PINコードを入力することでロックが解除される。自転車自体の構造はシンプルで乗りやすく、サドルの高さも自由に設定できる。

駐輪ステーションが無くてもレンタル管理ができる点は、中国のシェアサイクルと共通しているが、SoBiは『ドックレス型のシェアサイクルではない』ことを強調している。基本ルールでは、各地に設置された駐輪ステーションへの返却を義務付けているが、それ以外の場所でもロックをして乗り捨てることは可能。ただし、その場合には「Out of HUB fee」という特別料金が加算される体系になっている。この仕組みにより、駐輪場所が限定されないサービスの柔軟性は保ちつつ、決められたステーションへの返却率を高める効果を生み出している。

■SoBiソーシャルバイクの紹介映像

SoBiでは、各地の自治体をシェアサイクルの運営母体として、彼らにソーシャルバイクのハードとソフト一式を提供する形でサービスの拠点を広げている。具体例として、カナダのオンタリオ州にあるハミルトン市では、2013年11月にSoBi社との契約をして、650台の自転車と65ヶ所のステーションを納入している。ただし、シェアサイクルの事業資金には、市民の税金を使うのではなく、利用者の月額会費、レンタル料、広告収入などで、すべて賄えることをSoB側が保証する契約になっている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です。正式会員の登録をすることで詳細レポートにアクセスすることができます記事一覧 / JNEWSについて

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