written in 2010/10/17
フリーランチの教訓からすれば、激安サービスに飛びついたところで、結局はそれ以外でも、追加の商品やサービスを利用することになり、トータルでみた出費は大して変わらないという見方もできる。コンビニの弁当が
300円台になっても、それだけを買って帰る人は少なくて、平均の客単価でみると、じつは5年前と比べても大きな下落がみられない。
《コンビニ客単価の推移》
それよりも気になるのは、コンビニを利用する人と、しない人、の二極分化が進んでいることで、マイボイスコムが定期的に行っている「コンビニ弁当の利用調査」によると、「コンビニ弁当をまったく食べない」という人の割合は、9年前(20.9%)よりも増加して、2009年には37.4%となっている。
欧米では、健康への悪影響を配慮して、ファーストフードを食べないことを推奨する“反ファーストフード運動”が高まってきており、医師達によって運営されるNPO団体「Physicians
Committee for Responsible Medicine(PCRM)」が今年9月に放映したテレビCMは、マクドナルドの高脂肪メニューが心臓病死の要因になることを指摘した過激な内容として、物議を醸している。
その一方で人気となっているのが、野菜中心の食生活である。昔は宗教上の理由から肉食を完全に絶った禁欲的なベジタリアンが大半を占めていたが、現在では、野菜中心の食生活をする人ほど、高血圧、心臓病、ガン、アルツハイマー病などのリスクは低いことが、科学的に実証されて、肉を食べる割合が普通の人と比べて少ない「セミ・ベジタリアン」を目指す人達が増えており、先進国ではその潜在層が、国民全体の5〜10%になるとみられている。(※映像は米国で成長しているヘルスフードレストラン「Saladworks」のCM)
VIDEO
ベジタリアンに関連した市場は、食品や飲食業だけでなく、旅行、育児、住宅、健康、医療、教育など、広範囲で新たな商機が見込めるもので、かつてコンビニやファーストフードが全国に普及したことにより、消費者のライフスタイル全体が変わったこととは、逆方向(スローライフ)の強い影響力を秘めている。
《ベジタリアンの増加で影響を受ける業界》
(環境ビジネス・エコビジネス事例集一覧へ )
●19世紀のフリーランチ・ビジネスモデルに学ぶ教訓
●現代版フリーランチ・サービスの駆け引き
●ファーストフードからスローライフへの回帰
●コンビニ客単価の推移からみた値下げのトリック
●コンビニ弁当を食べないヘルシー志向の消費者層
●エリート客を取り込むサスティナブル・レストランとは
●英国におけるサスティナブル・レストランの特徴
●顧客との関係を長持ちさせるレストランのビジネスモデル
●フリーダムフードの考え方とヘルスフードレストランの新業態
●急成長するダイエットプログラム付きの給食ビジネス
●信用を起点としたレストランの新格付けビジネス
●ローカル広告市場を席巻するグルーポンビジネスの正体
●エコとエイリを共存させた循環型ビジネスモデルの再構築
●米国が仕掛けたベジタリアン育成と食生活のエリート人材
●カロリーデータベースを起点とした食ビジネスの集客経路
JNEWS LETTER 2010.10.17
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