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  安いワインと高級ワインでは、原料とするブドウの栽培方法が大きく異なっている。日本産と比べて、フランスワインの価値が高いのは、ブドウ栽培〜ワイン生産の基準が法律によって厳しく管理されているためだが、そこには今後の農業が付加価値を高めて生き残っていくための知恵が凝縮されている。
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ワインの価値が決まる業界構造と
スペシャリストの役割
written in 2009/11/24

 もともとワインは、水道事情が良くない欧州では水代わりに飲んでいたとされて、大衆的な飲み物として普及している。日本でも千円前後で買えるデイリーワインは多数出回っているが、それらと1ボトルが10万円以上するような高級ワインは、原料となるブドウの品質に違いがある。

大量の生産を前提とした安価なワインに使われるブドウの木は、樹齢が短くて、一本の木からできるだけたくさんのブドウを収穫できるよう栽培されている。ブドウの出来映えには、気候や土地の性質、手間のかけ方(人件費)も関係してくるが、できる限りのローコストで栽培されたブドウでワインが生産されている。さらに量産用として品質を安定させるため、複数の産地から収穫されたブドウ果汁や添加物を混ぜ併せていることもある。

一方、高級ワインに使われるブドウの木は、樹齢が長いことに加えて、木が大きくなりすぎて栄養分が希薄にならないよう、木の剪定や間引きをすることで、1本から数房のブドウしか収穫しない。安全性にも配慮した自然栽培により“高品質で少量の収穫”ということを徹底しているのだ。ボトル詰めした後も、熟成が進んで歳月を重ねるほど深い味わいとなり、ヴィンテージワインとしての価値を持つようになる。

そのため、欧州式の食事で大切な客を招待する時には、どんなワインを振る舞うかで、相手に対する気持ちを伝えることができる。これは政府が、他国の要人を招いた際にも使われる手段であり、晩餐会に出すワインのランクやこだわり方により、相手国と自国の立場や姿勢を無言で意思表示する“ワイン外交”が行なわれている。日本でも先日、外務省が外国要人の接待用として7千本のワインを貯蔵していることが明らかになったが、それもすべてが“贅沢のため”というわけではないようである。

《安いワインと高級ワインの比較》
    安いワイン高級ワイン
    ・ブドウ畑
    ・ブドウ栽培の労働力
    ・ブドウ栽培の人件費
    ・ブドウ木の樹齢
    ・ブドウの収穫
    ・仕込み〜瓶詰の期間
    ・瓶詰後の熟成
    広い
    短時間
    安い
    5年程度
    多い
    短期
    期待薄
    狭い
    長時間
    高い
    数十年以上
    少ない
    長期
    熟成する

 ワインの中でも世界最高と評されるのがフランス産だが、これは法律によってワインの品質が厳しく規制されているためである。もともとフランスは、風土や気候の面でブドウの栽培に適している地域が多いことで知られていたが、有名産地を騙った偽物が広く出回るようになったことから、1930年代にワイン法が制定されて、品質の基準が明確に定められるようになった。この法律は今でも踏襲されており、フランス産ワインは4つのランクに分類されている。
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この記事の核となる項目
 ●家庭菜園から農園オーナーになるという発想
 ●ワイナリーの資産価値と流動性の魅力
 ●政治にも使われる高級ワインの価値
 ●安いワインと高級ワインは何が違うのか?
 ●なぜフランスワインは世界で最高なのか?
 ●ワインの価値を高めるスペシャリスト達
 ●成功者が評価するワイナリー経営の収益構造
 ●ワインの先物買いとストレージクラブの仕組み
 ●アルコールに変わる水商売としてのミネラルウォーター市場
 ●金儲けとは異なる生き甲斐と生活防衛のための投資事業


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