世界のブランドメーカーやレストラン業者など、他業種から、ホテル業への参入が相次いでいる。背景にあるのは、新しい世代の顧客層はモノやサービスを購入することから、「特別な体験」を得ることにお金を使う価値観にシフトしていることがある。
異業種から参入するホテル経営の狙いとビジネスモデル

JNEWS会員配信日 2018/9/7

 これまで旅館やホテル業を営むには、客室数や客室の床面積、その他の設備条件などで高いハードルがあったが、2018年6月に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)により、異業種からも宿泊業への参入が容易になっている。これにより「Airbnb」に出品されているような個人大家の物件に限らず、企業が保有する施設も条件に従えば“宿泊施設”として有償で提供できるようになる。これは、単に遊休施設を収益化するだけでなく、本業の製品を体験してもらう新たな集客手段としても注目されている。

たとえば、全国各地にある住宅展示場は、ホテルや貸別荘と同等のハイグレードな宿泊施設になる。マイホーム購入を検討している人にとっては、実際に宿泊して住みやすさを確認できるため、住宅メーカーにとっても副業以上のメリットがある。その他にも、家具メーカーや家電メーカーが、空き家となっているマンションや戸建住宅を取得してリノベーションした後、自社製品のショールームを兼ねた宿泊施設として提供することも検討されている。

民泊制度ポータルサイト

このトレンドは、世界のブランドメーカーやレストラン業者など、これまで宿泊業に関与していなかった他業種から、ホテル業への参入が相次いでいる動きともリンクしている。

ファッションブランドとして有名なアルマーニは、2010年からホテル事業に参入して、中東ドバイとイタリアのミラノに「アルマーニホテル」をオープンさせている。ドバイのホテルは、世界一の超高層ビルと言われるブルジュ・ハリファの中にあり、客室の内装からレストランのメニュー、接客のホスピタリティまでが、アルマーニのブランド哲学によってプロデュースされている。宿泊料金は1泊およそ347ドル~。アルマーニは、ドバイとミラノの他にも、ニューヨークや東京を含めた世界の主要都市10ヶ所以上で、ホテル事業を計画している。

日本人シェフの松久信幸が世界展開しているレストランの「NOBU」も、レストランでありながら、ホテル経営にも乗り出している。現在はシカゴ、ラスベガス、マイアミなど米国内のほか、ロンドン、マニラ、スペイン、サンパウロなど世界16カ所にあり、2020年までに20カ所で展開する計画だ。このうち幾つかのホテル内には「NOBUファーム」というプライベート農場があり、ここで収穫された新鮮な有機野菜を使った料理を提供する。ホテルは、日本のブランドを生かして、和風の「旅館(Ryokan)」をイメージさせる客室作りをしているところが、海外で人気となっている理由でもある。

また、米国で急成長している高級フィットネスクラブの「EQUINOX(エクイノックス)」でも、ホテル業への参入を決めている。第1号となるホテルは、2019年にニューヨーク・マンハッタンの再開発エリア「エリア・ハドソンヤード」内にオープンする予定。フィットネスにこだわりのある客をターゲットに、宿泊中でも充実したトレーニング環境を提供することや、プライベートトレーナーの指導が受けられることを、他のホテルにはない特徴としている。

このように、異業種からのホテル参入が相次いでいる背景には、購買層の新しい世代が、特別な経験のためなら、お金を支払ってもよいと考えていることが根底にある。その体験をしてもらうための場としてホテル業を営むことは、本業との相乗効果が大きい。ただし、ホテルの開業には多額の資金がかかることから、できるだけローリスクで行える事業展開のノウハウも必要になる。今回のレポートでは、新たなライフスタイルを体験できる宿泊施設の新形態やビジネスモデルを解説しながら、日本の民泊ビジネスにも活かせるヒントを探っていきたい。

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JNEWS会員レポートの主な項目
・ブランドホテルのビジネスモデル
・中国富裕層を狙うアルマーニホテルの集客モデル
・ホテル長期滞在者向け予約プラットフォームの開発
・米国で人気化するコリビング住宅とホテル事業の接点
・ビジネスコミュニティを形成するコワーキング・ホテル
・民泊新法で見直される社員寮の役割と転用ビジネス
・法人遊休不動産の民泊転用ビジネス
・民泊運営代行サービスの役割と採算
・職住近接で求められる単身者向けマイクロアパートメント開発
・空き家メンテナンスに適したオンデマンドワークの仲介ビジネス
・賃貸物件の管理コストを軽減させるIoTシステムへの潜在需要
・米国で急増するコワーキングオフィスの開業ノウハウと採算性

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