JNEWS会員配信日 2016/7/14
病気を治すため良い医師を探したい時に、頼りにする情報源は何か?やはりネットで調べる人が多く、病院のホームページに書かれている内容や、「病院名+口コミ」などのキーワードで、評判を知ろうとするのが一般的である。最近は、全国の病院を対象にした口コミサイトも増えてきている。
しかし、匿名で投稿されている口コミが信用できるとは限らず、病院のホームページにも、情報発信のスタンスにそれぞれ違いがあり、サイトの出来映えが良いから名医というわけではない。掲載されている内容が、医療専門家としての「情報提供」と、集客を目的とした「広告宣伝」との線引きは難しい。
医療分野については、国民生活センターに寄せられる苦情も増えていることから、厚生労働省でも広告規制を強化することを検討しはじめている。
美容を除いた診療科目の中で、最も集客マーケティングに熱心なのは「歯科」の業界である。「歯科医院はコンビニの数(5.4万件)よりも多い」とよく言われるが、確かに事実であり、全国には 6.8万件もの歯科医院がある。他の一般診療所が、内科、外科、産婦人科、眼科など、すべての科目を含めて約10万件であることと比べても、歯科業界が飽和市場であることがわかる。
《全国歯科医院の推移》
・1993年……55,906件
・2002年……65,073件
・2011年……68,156件
・2014年……68,560件
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※出所:医療施設調査
《医師・歯科医師数の推移》
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医師 |
歯科医師 |
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1990年 1996年 2000年 2008年 2014年 |
21.1万人 24.8万人 25.5万人 28.6万人 31.1万人 |
7.4万人 8.5万人 9.0万人 9.9万人 10.3万人 |
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※出所:医師・歯科医師・薬剤師調査の概況(厚生労働省) |
歯科医師の国家試験合格者は、年間に約2千人ペースで増えており、その大半が独立開業を希望している。外科や内科の医師は、大学病院に残る道もあるが、歯科医の場合には、勤務医として働ける大病院の数が少ない。私立大学の歯学部を卒業して国家資格を取得するまでに、約4千万円かかる学費に見合うだけの生涯収入を得るには、独立開業するしかない。
しかし、国が決めた診療報酬は年々下がってきているため、歯科医院の経営は苦しくなるばかりだ。そこで、公的保険よりも、自由診療のウエイトを高めていくことが、開業医が生き残るための道筋となっている。
患者側にとって、自由診療の普及は、高度な医療を受けられる選択肢が増える一方で、問題点も浮上してきている。
歯科では、保険医療と自由診療の両方を提供する“混合診療”が認められているが、混合型の診療所では、料金が安価な保険診療の質が低下しやすい。わかりやすいのは、経験が浅い若手医師と、院長の二人が診察にあたる歯科医院で、保険診療は若手医師が担当して、経験豊富な院長は自由診療の患者に専念するというケースだ。これでは、いくら評判の良い歯科医院でも、保険診療では最良の治療を受けることはできない。
自由診療を受ける場合、同じ治療内容でも診療所によって料金に大きな差が生じてくる。インプラントの治療費は、見積金額が300万円の歯科医もあれば、500万円の歯科医もある。自由診療には“定価”が存在しないため、使う材料や医師の技術料によって、トータルの治療費が数百万円単位で違うことは珍しくない。
そのため、自由診療の歯科を決める際には、自分の予算内で最も信頼できる医師を探す必要があり、保険診療の時代よりも名医探しは難しくなってくる。
そうした時代に名医を探すための方法は、単にホームページに書いてある内容や口コミに頼るのではなく、もっと客観的かつ科学的な手法を開発していく必要があり、新たな医療情報サービスを立ち上げるためのヒントを見つけられる。(この内容はJNEWS会員レ ポートの一部です→記事一覧)
■JNEWS 会員レポートの主な項目
●開業医過当競争時代の名医選び
●名医を発見するアルゴリズム開発の視点
●客観性が重視される医療ホームページの役割
●名医紹介会社のビジネスモデル
●オンライン診療を起点とした名医探しの方法
●混合診療の解禁で激変する医療ビジネス
●開業医向けIT支援サービスと集客マーケティング
●海外の医療旅行者を取り込むメディカルツーズムの長短
●医療費の軽減を目的とした栄養カウンセリング事業
●割が赤字に陥る健康保険組合の運営立て直しモデル
■この記事の完全レポート
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