JNEWS会員配信日 2016/4/29
国内のインターネット人口は1億人を超えて、一般ユーザーの立場でも、自由に情報発信できるようになったのは良いことだが、有名人や企業の不祥事、不適切な発言に対して、集中的に非難のコメントを寄せる「炎上」が各所で起きている。その対応を誤れば、さらに怒りは爆発的なものとなり、非難の標的となった者は、それまで築いてきた信用を失うことになってしまう。
これまでのイメージでは、ネットの炎上は、世の中への不満を抱いている社会的に立場の弱い人達によって起こされるものと思われていたが、詳しく分析することにより、それとは異なる傾向があることがわかってきた。
2015年12月に、情報通信学会で発表された炎上に関する論文によると、「年収が高いほど炎上に加担する確率が高い」、「子供と同居している人は炎上に加担する確率が高い」などの、意外な結果が出ている。
《炎上加担者の主な傾向と特徴》
○男性は、女性に比べて炎上に加担する確率が高い。
○年齢が増えるほど、炎上に加担する確率は減少する。
○子供と同居している人は、炎上に加担する確率が高い。
○年収が高い人ほど、炎上に加担する確率が高い。
○学歴と炎上加担率には関係がない。
○ラジオの平日視聴時間が長い人ほど炎上に加担する確率が高い。
○インターネット利用時間と炎上加担率に関係はない。
○SNS利用時間が長いほど炎上加担率が高くなる。
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※出所:実証分析による炎上の実態と炎上加担者属性の検証
こうした状況は、海外でも共通しており、シドニー大学のフィオーナ・マーティン博士が、欧米主要ニュースサイトのコメント欄を調査したところ、7割以上が男性ユーザーからの投稿であることが判明している。
《海外ニュースサイト・コメント欄の男女比率》
・Daily Mail ……………(男性:63%、女性:17%、不明:20%)
・Huffington Post………(男性:79%、女性:20%、不明:1%)
・New York Times ………(男性:72%、女性:10%、不明:18%)
・Australian Breaking News……(男性:70%、女性:9%、不明:21%)
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※出所:Why are most online commenters male?
ネットユーザーの男女比は50:50に均衡してきている中でも、コメント投稿については、未だ“男性主体”の偏りがみられるのが、共通した特徴といえる。しかし、女性の発言が、男性に比べて影響力が小さいというわけではない。投稿数は少ないものの、女性のコメントに対してはフォロアーが付きやすく、議論が各所に飛び火していく傾向がある。そうした複雑な口コミの広がり方により、炎上は広がっていく。
そのため、企業がネットで公開するコンテンツには細心の注意を払う必要が生じてきている。特に、偏った性別意識が感じられる内容は、「ジェンダーハラスメント」として、炎上する確率が高い。
これからの企業にとって、ネットユーザーとの対話や接客は、上手に行えば、会社の知名度やファンを増やすことに繋がる一方で、対応を間違えれば、長年かけて培ってきたブランドイメージを崩壊させるリスクも併せ持っている。そのため、適切なSNSマーケティングを行うための人材やシステムに対して、企業がコストを投じる風潮は高まっており、関連のビジネスが成長してきている。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です→記事一覧)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●対応策で明暗が分かれる炎上後のダメージ
●炎上対策で生まれる新たな職業
●コメント分析で判別するユーザー特性と炎上対策
●企業向け口コミ分析ツールの開発
●若者世代で進むフェイスブック離れの兆候
●データを残さない新たなSNSによる交流スタイル
●多様化社会に適応するための企業対策と従業員トレーニング市場
●消費者とEC業者を詐欺から守るプロテクションサービス
●ソーシャルゲームに依存するユーザー特性と社会的報酬の魅力
●スマホとSNSで優良人材を発掘するモバイルリクルート市場
●エリートとリアリストに向けた階層別ブランド戦略の進め方
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2016.4.29
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