JNEWS会員配信日 2015/5/6
高校、専門学校、大学の新卒者で、就職を希望する若者の数は、2015年の時点で約70万人。それに対して、60歳の誕生日を迎えて定年退職をする人は 約150万人の規模がある。人口統計からみると、2025年頃までは、毎年同程度の定年退職者が出ることになる。
これからの定年退職者は、子どもの年間出生数(約100万人)よりも多いことから、定年以降の人生プランを考えたり、サポートすることが有望市場として浮上してきている。
年収の上昇カーブからみたサラリーマンのピークは、50代前半までで、その後は下降線を辿っていることから、それまでの準備や行動によっても、60代以降の生き方は変わってくる。年齢による給与額の変動は、女性よりも男性、中小よりも大企業に勤めている人のほうが大きいため、彼らにとってのセカンドキャリア形成は重要なテーマだ。
厚生労働省の調査によると、日本は、他の先進諸国と比べて、60歳以降の就業意欲が高いが、これは主に「生活を維持していく経済上の理由」が7割以上を占めており、生き甲斐と仕事を両立できている人は少数だ。
働き方(就業形態)にしても、60代からは非正規雇用の割合が高くなり、元の勤務先から嘱託社員として再雇用されるか、それが叶わなければ、パートやアルバイトの仕事を探すことが主流になっている。月給ベースでは20万円以下が平均値である。
60代を迎えても、満足のいく仕事を続けていくためには、社内のカリキュラムに沿ってキャリアを積んでいくだけのコースでは不十分である。こうした状況は、他の先進国でも共通しているが、米国では、大学や大学院で学び直す40代〜50代の人達が急増している。USニュースの記事によると、1987年から2007年までの間に、大学院で勉強する40歳以上の学生は2倍になっている。
40代で修士号の学位を取ることにより、サラリーマン人生として残り10〜20年の期間をレイオフされにくく、高給を得られるポジションに付ける確率が高くなると分析されている。
ただし、大学院で授業料を払い込んだ分を投資として取り返すことができるか否かは専攻分野によっても違ってくる。たとえば、エンジニアの修士号を持つ者の給与中間値は10万ドルだが、英語学の修士号の給与中間値は5万ドル程度と、約2倍の差が生じている。
■Midcareer Professionals: It's Time to Go Back to School http://goo.gl/iX00uZ
以前の人生プランとしては、50歳を超した頃からは、悠々自適の生活を送るのが理想ではあったが、平均寿命が80歳を超えるようになり、できるだけ“現役”として、高いポジションで働き続けることが、新たな人生の目標へと変化してきている。
そこに向けては「大人の学び」に関する新たな市場が形成されるようになり、人口のボリュームゾーンにあたる、中高年者向けの教育や職業訓練ビジネスには、これからの商機が見込めそうである。ポイントとなるのは、「シニア向け○○講座」のような棲み分けをするのではなく、年齢による差別やハンディの無い、社会人向けの教育システムを再構築することにある。(この内容はJNEWS会員レポートの一部です)
■JNEWS会員レポートの主な項目
●中高年者はなぜ大学に戻るのか?
●2年制短期大学(コミュニティカレッジ)新たな役割
●実需に基づく中高年者のキャリアアップ市場
●年齢差別の排除と社会人向け学習市場
●中高年者の起業意欲と開業スタイル
●60代以降の起業者を増やすシニア・アントレプレナー支援市場
●高騰する大学授業料と対峙するオープンエデュケーションの波
●価値が下落する学歴社会に求められる教育投資効率の考え方
●若年の起業とは異なるシニア起業の事業モデルと収益プラン
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2015.5.6
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