JNEWS会員配信日 2014/3/30
オリンピックで活躍するようなトップアスリートの裏方には、必ず名コーチの存在がある。その役割は、チーム全体の指揮を執る監督とは視点が違って、個別選手のトレーニングをサポートや、メンタル面のケアもすることにより、選手の能力を最大限に伸ばすことにある。間違ったトレーニング方法により、目標半ばで怪我や挫折をしてしまうのを防ぐのも、彼らの役目だ。
最近では、子どものスポーツ指導においても「コーチング」の技術が重視されるようになってきた。昔のような根性論ではなく、科学的な練習方法や、モチベーションを高めるための心理学に基づいたコーチングの手法が考案されてきている。
コーチングの必要性は他でも指摘されており、ビジネスの分野では、管理職に対して、コーチング研修を行う企業が増えてきている。背景として、サービス残業や、パワーハラスメントが指摘される中、離職率の高い会社は、求職者から“ブラック企業”と呼ばれるようになり、厚生労働省でも、離職率の高い会社を公表する準備を進めているためだ。
日常生活の中でも、悩み事のヒアリングをして、目標達成までのサポートをする、様々なコーチ職が登場してきている。コンサルタントやカウンセラーとは立ち位置が若干異なり、相談者が抱えている課題や壁に対して、前向きな目標を設定して、それをクリアーするまでの伴走をする。悩みの答えを見つけるのは、あくまで相談者本人だが、コーチは理論的な手法により、成功までの道筋を作っていく。
根性論だけで目標達成までを導こうとするのは、時代遅れのやり方になっており、どんなトレーニング方法が最も効果が上がるのか、そこで想定される問題点やリスクは何か?など、総合的に判断してアドバイスする名コーチの存在は、スポーツ、ビジネス、プライベートな悩みについても求められており、新たな職業としても注目されている。
【企業の失敗を防ぐエグゼクティブコーチの役割】
米国では、1980年代から「コーチング」が職業として成り立っており、ビジネス分野のコーチングだけでも年間で10〜20億ドルの市場規模があるとみられている。
フォーチュン500社にランキングされる大企業では、経営者や役員などの幹部社員に対してエグゼクティブコーチが付き、重要な意志決定をする際のサポート役になっている。コンサルタントが、専門知識によるアドバイスや助言をするのに対して、エグゼクティブコーチは、経営者が見落としている問題点などを、ヒアリングやディスカッションによって、深刻な失敗に陥る前に「気付かせること」が、主な役割になっている。
新たな事業にチャレンジする際に、どんなリスクや問題点が潜んでいるのかを話し合うことで、経営者にその輪郭をイメージさせる。問題点が明瞭で具体的になれば、それに合った解決方法を見つけることはそれほど難しくはない。
会社のトップにいる経営者にとって、自分自身の査定をすることは難しい。そこで、経営者が頭の中で考えていることに対して、客観的な視点から、問題点や課題を浮き彫りにするのが、エグゼクティブコーチの仕事だ。
ブラック企業の問題についても、オーナー社長の中には、叩き上げで会社を成長させてきたタイプが多いため、「社員も命懸けで働くのが当然」という考え方をしていることがある。しかしその価値観は、時流には合わず、企業としての信用や成長を妨げてしまうことから、考えを改めなくてはいけない。そこを気付かせるのも、エグゼクティブコーチの役割になる。
●ビジネスコーチングの開業モデル
●個人の悩みを解消するライフコーチング
●ファイナンシャルコーチの個人開業モデル
●ストレスと悩みの種類からみたコーチング市場
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JNEWS LETTER 2014.3.30
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