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  ASEAN加盟国の間では「自由貿易地域」の協定が結ばれており、貿易や人の移動に関する緩和が進められている。2010年からは「中国・ASEAN自由貿易地域(CAFTA)」もスタートして、関税率が大幅に緩和される見通し。 これは国境を取り払った、一つの自由経済圏が生まれることを意味しており、労働人材の移動もしやすくなる。
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経済連携による国境消滅で起こる
労働人材の国際調達ビジネス
written in 2011/2/15

 インターネットを使い慣れてくると、国境の存在に気付かなくなり、海外のサービスを無意識のうちに使うようになる。ツイッターやフェイスブックにしても米国のサービスであるし、いまや、グーグルを利用していない日本のユーザーは、ほとんどいないだろう。しかし現実には、国と国の隔たり確かに存在していて、中国からでは、ツイッターやフェイスブックも自由に使うことができないし、他の国でも、政治的な理由によってインターネットのアクセスを制限していることがある。

ネットが自由に使える日本からすると、時代錯誤のように感じるかもしれないが、リアルな人と人の交流については、日本ほど国際化で後れをとっている国も無い。昨年末から議論が活発になってきた、TPP(環太平洋連携協定)への加盟についても、日本は国内の産業を守るために、消極的な姿勢のままである。

この話の発端にあるのは、自由貿易協定(FTA)や、経済連携協定(EPA)という、特定の国と国とが、交易に障壁となる関税や取引量の制限などを撤廃して、両国の間でビジネスが自由にできるようにするための約束事で、世界の各国同士が様々な協定を締結しはじめている。これが広がると、欧州連合(EU)のように、異なる国同士が一つ経済共同体になることができる。その中では、国境を意識すること無く、製品の輸出入が自由にできたり、労働者が提携国の企業に就職することも容易になる。

《EPAとFTAの棲み分け》

  

こうした提携関係を、太平洋周辺の国々までひろげて、自由貿易圏を作ろうとするのが「環太平洋戦略的経済連携協定(TPP:Trans Pacific Partnership)」のコンセプトで、シンガポール、ニュージーランド、ブルネイ、チリ、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシアの9ヶ国が加盟交渉に参加している。

《各国との提携による自由貿易圏の広がり方》

  

TPPのネットワークが形成されると、日本の貿易高に対して25%が加盟国相手の取引となり、農産物、電気機器、自動車、繊維など、様々な業界に影響が生じてくる。これには、日本の産業が駆逐される“危機”という見方と、新たな貿易ビジネスの“商機”が生まれるという見方の両方がある。

いずれにしても、これからの世界経済は、個々の国同士による交流だけでなく、提携関係を結んだ共同経済圏とのビジネスを意識していくことが大切。国としての大きな商圏が見込まれるのは、13億の人口がいる中国と言われているが、それ以外でも、EU(欧州連合)、米国・カナダ・メキシコなどによる「北米自由貿易協定 (NAFTA:ナフタ)」、「東南アジア諸国連合 (ASEAN(アセアン)」などで形成される商圏にも目を向けていく必要がある。

しかし日本は、島国で日本語以外の会話は苦手ということもあり、世界経済の中でも、特に“人の移動や交流”については、鎖国同然の状況になっている。それでもやがては、近隣諸国から“開国”を迫られることになりそうで、既に外国人労働者の受け入れも行われるようになってきた、その中でどんな問題点が浮上しているのか、どんな新ビジネスが考えられるのかを見ていくことにしよう。

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この記事の核となる項目
 ●医療介護人材の国際調達ビジネス
 ●外国人看護・介護人材が日本で就労するまでの業界構造
 ●外国人介護人材が日本で就労するタイムテーブル
 ●言葉の壁を盾にした日本の外国人就労政策
 ●中東へと流れるフィリピンの看護人材
 ●なぜ中東では外国人材の就労受け入れに前向きなのか?
 ●フィリピンと日本が同じ土俵で闘う米国ナースの座
 ●米国で看護師として働くまでのステップ
 ●国から自由貿易圏へと広がる新商圏
 ●経済連携を含めた世界商圏の市場規模
 ●日本のリタイア世代を狙うASEAN諸国のビザ政策
 ●年金生活者を受け入れるマレーシアの狙いとは
 ●1万円の海外旅行を実現させる格安航空会社(LCC)の衝撃
 ●黒船に乗った新興国の知的ワーカーが迫る労働市場の開放政策
 ●日本からの中国ネットビジネス参入に向けた視点の磨き方
 ●在宅介護セルフサービス時代の幕開けと新たな専門職の役割
 ●介護保険の陰に隠れた家政婦サービスの業界構造と潜在市場
 ●隣の外国人が日本で働いているカラクリと業務請負ビジネス


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JNEWS LETTER 2011.2.15
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 ●安価な外国人労働力を調達する日本企業の知恵と抜け道
 ●外国人労働者受け入れ解禁で飛躍が見込める日本語教育市場
 ●ネットによって国境を楽々と越えるサービス貿易の動向と影響