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クラウドソーシングが従来のボランティア活動と異なるのは、ネットで数千、数万人の仲間を集めることができ、そのプロジェクトが短時間で急成長し ていくところである。世界では様々な公的サービスをクラウドで行うプロジェクトが立ち上がっており、小学生から高齢者までが自由に参加できる。

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みんなの共同作業で解明する
市民科学とクラウド社会の輪郭
written in 2010/6/18

 明日は大事な仕事の屋外イベントがあり、天気の崩れ方によっては内容を変更しなくてはいけないため、できるだけ正確な気象情報を知りたい。そんな時にはどうすればよいか?以前は、気象庁や気象会社が発表する天気予報に頼るしかなかったが、今ならツイッターのようなソーシャルメディアで聞くのが、一番早くて正確な情報を知ることができる。

ツイッターユーザーは全国各地に分散しているため、皆が自宅付近の天気を報告しあうことで、気象会社の予測よりも詳しい天気情報を作ることができるのだ。それを視覚的に実現しているのが、日本気象協会が実験的に運用している「みんなの気持ち」という、お天気コミュニティで、全国からのユーザー投稿により各地域の“いまの天気”が地図上でリアルタイムに更新されている。投稿数が増えるほど、天気の観測地点も増えることになり、ゲリラ雷雨のような突発的な気象変化の予測にも対応することができるようになる。

みんなの気持ち(日本気象協会)
  http://tenki.jp/feeling/

このように、ユーザーひとり一人が連携することで、大きなネットワークを形成することで生み出される力は、企業にとって驚異的なものとなりそうである。たとえば「テレビ視聴率」は、専門のリサーチ会社によって調査されて、その数値がCM放映料を決める指針になっている。しかし視聴率の正確性については、以前から疑問の声が上がっているのは周知の事実。視聴率リサーチ会社の株主は、大手広告代理店やテレビ局で占められており、ひいき目の数字に操作することもできるためだ。

また、音楽の売れ行きに関係するヒットチャートについても、近頃では調査会社とレコード会社との関係が濃密となり、その情報だけを鵜呑みにすると、消費者は騙されてCDを購入する羽目になる。

こうした問題を解決するには、情報収集の原点に戻って、消費者寄りの新たな調査会社を作ればよい。ソーシャルメディアを活用すれば、いまよりも正確な視聴率や人気ランキングを作成することは十分に可能であるし、リサーチにかかる費用も安価に抑えることができる。

さらに、政党や政治家の支持率についても、新たな調査方法を考案することは、腐敗した政治を立て直すことに役立ち、やがては選挙の仕組みを変えるまでの力になるかもしれない。

リサーチビジネスだけに限らず、今後は企業は民衆との新たな関係を築いて、上手に彼らの協力を得たり、知恵を借りることが、新たなビジネスモデルとして重要になってくる。これは「クラウド・ソーシング」と呼ばれる発想で、従来のビジネスは、社内の従業員によって行われていたが、そこへ消費者にも参加してもらうことにより、人件費の削減や、新サービスの開発、さらに新規顧客の獲得までも、民衆(クラウド)の力によって手助けしてもらえるようになる。

《企業の新たな事業展開モデル》

  

クラウドソーシングが成功すると、数千人、数万人もの消費者が安価な報酬、または無償のボランティアでも、企業のために動いてくれるようになるが、当然そこには何らかの動機付けが必要になるし、企業が不審な行動すれば、逆に大量の批判を受けて炎上するリスクもある。それでも、ツイッターに象徴されるようなソーシャル社会の中では、企業よりも民衆の力のほうが大きくなるのは必至で、今のうちから、彼らとの協業ビジネスを模索していくことのほうが賢い。ではクラウドソーシングにより、具体的にどんなビジネスモデルが成り立つのかを考えてみよう。
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この記事の核となる項目
 ●共同作業で実現するクラウド社会の輪郭
 ●市民の協力で観測するシチズン・サイエンス(市民科学)
 ●善意の労働力が生み出す電子コンテンツ
 ●市民に図書館の蔵書を電子化してもらうプロジェクト
 ●企業が民衆に競わせるクラウド・コンテストの仕組み
 ●クラウドコンテストによるシステム開発の流れ
 ●クラウドワーカーが変えていく労働市場と社会事業の方向性
 ●夢の仲間を呼び集めるクラウドソーシング
 ●クラウドに集客してもらう旅行会社の新ビジネスモデル
 ●クラウドワーカーを活用した芝刈りビジネス
 ●ネットユーザーをクラウド社員にするネット広告会社
 ●趣味と実益を兼ねた「本業+副業」のマルチワークスタイル
 ●ノーリスクで副収入を得るための着眼と長続きする副業の条件


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