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世界の富豪に仲間入りする中国人消費者に 広がるカード社会 |
written in 2010/3/12
ネットを使えば、世界中の人達が自由にコミュニケーションできるようになり、世界の距離感は飛躍的に短くなっているが、実際に日本から海外に渡航している人の数は、2000年頃をピークに伸びていない。これには、テロや金融危機、新型インフルエンザなど安全性の問題が関係しているとみられるが、今後も日本の高齢化や景気の低迷が続けば、渡航者数はさらに減少していくことも懸念されている。
一方、日本へ訪れる外国人の数は10年前よりも2倍に増加している。地域別にみると、北米や欧州からの訪日者は全体の2割に過ぎず、残りの大半は韓国や中国などアジア地域からの旅行者で占められている。日本もアジアの一国であることからすれば、これは当然の割合といえるが、経済の成長が著しいアジア新興国からの訪日者は、ビジネスや観光を目的として更に増えていくことが予測できる。
《日本人渡航者と訪日者の推移》
これまで日本国内では、アジア諸国からの訪日者を“得意客”としてマークしてこなかったが、新興国の経済水準が上がったことにより、日本を訪れる富裕層は増えてきている。メリルリンチ証券が毎年発表している「ワールド・ウェルス・レポート」の2009年版によると、マイホームを除いて 100万米ドル以上の純資産を持つ、世界の富裕層人口は 860万人だが、それを国別でみると、米国、日本、ドイツに次いで、中国が第4位となっており、英国やフランスよりも富裕層の数が多いのだ。
《国別の富裕層人口(2008年)》
観光目的で日本を訪れる中国人は約95万人で、その大半は経済的に余裕のある人達だ。国内の観光名所では中国人が数多く見受けられるようになったが、彼らがもう一つ、旅行の目的としているのが、日本製品を購入するショッピングである。日本の小売店には、中国内では入手できない新商品がズラリと並び、それを持って帰国することが、一つのステイタスになっている。百貨店や家電量販店にとっては、日本人の消費が冷え込む中で、来日する裕福な中国人は是非とも優良客として囲い込みたい存在である。
リアル店舗に限らず、ネットビジネスにおいてもアジアの富裕層を顧客ターゲットとして狙うことは、国内向け市場の停滞から抜け出す策としては有意義だ。製造業の分野では、すでに中国をはじめとしたアジア諸国との提携関係が欠かせないものになっているが、個人向けのネットビジネスでも、日本だけでなくアジア全体の商圏を意識しなくてはいけない時代が訪れようとしている。しかし国が違えば、ビジネスの慣習や消費者の心理が違うのは当然で、一筋縄ではいかない相手である。
まずは、隣国として距離は近くても、文化や商慣習の面で遠い存在にあった中国の消費市場では、いま何が起こっているのか理解した上で、どんな参入方法があるのか考えていくことにしよう。そこから見えてくるのは、既に日本を追い越している中国電子社会の状況だ。
(注目の新規事業一覧へ)
●日本を追い越す中国のカード決済システム
●中国eコマース市場の決済慣習について
●中国の電子決済システム「アリペイ」の仕組み
●中国ショッピングモールへの出品代行ビジネス
●日本からの中国ネットビジネス参入に向けた視点
●中国内の流行に便乗したタオバオ出品モデル
●アリババ・プラットフォームが描く中国地図
●世界標準のプラットフォームビジネスとローカライズ市場
●ネット時代の円高還元スタイル〜米国発買い物代ビジネス
●クレジットカードのポイント特典は誰が払っているのか?
●ネットによって国境を楽々と越えるサービス貿易の動向と影響
●交換することで目減りする「お金」の価値と両替ビジネス
JNEWS LETTER 2010.3.12
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