written in 2006/2/18
会社の中で勤務年数を重ねれば、自分が現場で手足となって動く立場から、部下を管理する立場へとステップアップしていくのが従来の出世コースであった。いわゆる「中間管理職」がそのポストに該当するが、人事制度の変革によって彼らの立場が危うくなっているのは周知の通り。書類に印鑑を押しているだけの無能な管理職は窓際へと追いやられてしまうのが時代の流れである。二十代〜三十代前半までの“若手”と呼ばれる時期を過ぎた頃から、社内での自分の役割を見いだせないで悩んでいる中高年層のサラリーマンはとても多い。
しかし「管理職」というポジションが全く必要無しというわけではない。家を建てる仕事でいえば、現場で作業する多くの大工や職人を束ねて指揮を執る“現場監督”に相当するのが管理職の役割だが、監督者がいなければ現場での作業は混乱して、設計図通りの家を完成させることはできないだろう。それと同様にどんな仕事の現場においても監督者(管理職)の役割は大切だ。ヘッドハンティング業界においても、クライアント企業から最も依頼が多いのは管理職(マネージャー)に適した人材の引抜きである。
ただし敏腕マネージャーに適した資質は、従来の中間管理職(いわゆる課長級の仕事)とは異なっている。マネージャーが仕事の現場で管理するのは、人事部からあてがわれた社内の人員ばかりではなく、外部からアルバイトや派遣社員、フリーランサーなども含まれている。例えば、プロジェクト形式で業務が進められることが多いソフトウエア開発の現場では、自社の社員に加えて、派遣社員やフリーランスのエンジニア、在宅ワーカー、オフショアスタッフなどが一つのチームを組んでいることが多い。
チームの管理役であるマネージャーは、社内の調整役だけに留まらず、外部との厚い人的ネットワークも築いておかなくてはならないし、プロジェクトを持続させる予算集め(資金繰り)にも長けている必要がある。ソフトウエア開発に限らず、プロジェクトの進め方は次第に複雑化してきているため、管理職の仕事にも高度な専門性が求められるようになっている。そのため欧米ではプロジェクト単位で企業と契約するフリーの管理職が台頭している。
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LETTER 2006.2.18
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