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欧米で急成長する 室内空気の検査・改善ビジネスに向けた商機 |
written in 2005/9/6
国内でアスベスト被害の状況が広く報じられたことで、自分の家やオフィスにもアスベスト建材が使われていないかを検査してほしいという依頼が関連業者の元に殺到している。しかし建物内に潜む危険はそれだけではない。特に都市部では外気を直接取り入れることが少なく、密閉度の高い室内で一日の大半を過ごすようになってきているため、屋外よりも室内のほうが空気汚染が進んでいるのだ。
米国タフツ大学の調査によれば、カジノやバーの室内は、高速道路の料金所や車で混雑している市街地の外気よりも汚れていて、肺の病気や癌の原因になる微粒子の量が20倍も多かったという結果が得られている。これは長時間密閉された部屋での喫煙の多さによるもので、禁煙を実施したところ汚染度が改善されたという。しかし室内の空気を汚染するのはタバコの煙だけではなく、室内のあらゆるもの(壁や家具の塗料や接着剤、パソコンやテレビなどの家電、人間、ペット等)が原因になっている。近年になってアトピーやぜん息、呼吸器系の病気が増えているのは、これら住環境の空気汚染が大きく影響している。
外からの風が入りにくい「高気密住宅」が増えはじめたのは、旧建設省(国土交通省)がいまから20年ほど前に、熱損失の少ない省エネに配慮した住宅を奨励したきっかけとなっている。壁や窓のすき間を密閉することによって確かに冷暖房の効果は高くなったものの、予想以上に室内空気の汚染が進んで人体に悪い影響が生じる結果となった。空気の汚れは普段の生活の中で目に見えないことから、それが体調に現われてようやく被害の状況に気付きはじめた形だ。
欧米では室内の空気汚染を検査する業者が増えて人気の起業テーマとなっているが、日本では単に室内の清掃をするハウスクリーニング業がまだ主流で、科学的に室内空気の状況を検査するサービスというのは普及していない。しかし生活者の側が室内の目に見えない汚染に敏感になりはじめている状況を踏まえると、新たな家庭向けの環境検査、改善ビジネスが成り立つ可能性が高い。
(注目の新規事業一覧へ)
●米国で成長する一般住宅向け室内空気環境サービス
●室内の微生物汚染に対する検査、改善サービス
●室内に潜む放射線物質ラドンへの対策ビジネス
●広がるラドン検査のスペシャリストに対する需要
●室内環境検査のスペシャリスト養成ビジネス
●日本での室内空気環境調査/改善ビジネスの見通し
●消費者には知らされない有害建材の実態と健康リフォーム業界
●改正建築基準法によって浮上するシックハウス対策市場の商機
●屋内空気汚染対策で成長する空気ビジネスの米国最新動向
JNEWS LETTER 2005.9.6
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