クラウドファンディングによる老朽ホテルの再生投資
国土交通省が描く、不動産クラウドファンディングの青写真としては、都心の不動産開発だけではなく、地方の古民家や旅館の改装を行うための資金調達手段としても活用できるようにして、過疎化が進む地域を再生して、新たな移住者や外国人旅行者の誘致に繋げようとしている。
日本国内には、営業許可を受けている旅館・ホテルが7万8千施設あるが、その中で築年数が30年を超えている物件は5割近くになっている。これからも営業を続けていく上では、行政の衛生基準や防災基準に則った改装工事をしていく必要があるが、新たな経営ビジョンを描けず、銀行融資を受けられないため、廃業してく施設も少なくない。
しかし、外国人観光客の中では、地方の観光地にも関心を示す旅行者が増えていることから、起業家の目線では、収益化が見込める割安物件が地方の観光地には数多く眠っている。クラウドファンディングで調達した資金により、寂れた旅館を再生して、そこから得られる宿泊料収入を分配する仕組みは、地域再生型の投資ビジネスとして成り立つものだ。
※ホテル旅館の再開発が進む熱海市
米国では、2013年に非上場企業の資本調達を支援する法改正(JOBS法)が行われたことにより、多様なクラウドファンディングで投資家からの資金を募ることが可能になっている。その中では、個人投資家の中でも保有資産によって、プロ(適格機関投資家)とアマ(一般投資家)の棲み分けがある。
《米国適格投資家の条件》
- 年収が20万ドル以上あり、それを継続できる見込みがある個人
(既婚者の場合には30万ドル以上の世帯年収) - 純資産が100万ドル以上ある個人 ※(1)か(2)いずれかの条件を満たすことが必要
「EquityRoots」は、ホテル開発を専門としたクラウドファンディング業者で、適格投資家を対象として1口10,000~25,000ドルの出資を募っている。同サイトには、ホテルの新築や改装を行いたい事業者から資金調達の申込みがあり、事業計画の審査を通過した後に、クラウドファンディングが実行される。同社は、投資の対象を「ホテル」を絞り込むことにより、ホテル経営に精通した専門家が審査にあたることで、投資家からの信頼を得ている。出資の形態には、貸付型と投資型があり、1~10年の期間で資金が運用される。
クラウドファンディングによるホテル投資の利点は、客室収入によるインカムゲインと、物件売却によるキャピタルゲインの収益見通しが立ちやすいことだが、1件あたりの投資額は大きくなるため、ホテル経営が失敗した時のリスクもあり、プロ向けの投資案件といえる。
■EquityRoots
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