8割が赤字に陥る健康保険組合の運営立て直しモデルの着眼
病気や怪我をした時には、すべての国民が平等に医療サービスを受けられる日本の健康保険は、世界でもトップクラスの制度だが、その仕組みも崩壊寸前のところにまで追いやられている。
日本の公的医療保険は、大企業が独自に運営する「健康保険組合(健保組合)」、中小企業が加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」、公務員が加入する「共済組合」、自営業者や一般個人が加入する「国民健康保険」に分かれているが、その中でも健保組合の運営状況は、8割以上が赤字に陥っているのだ。
この中でも、大企業の健保組合は、最も保険内容が充実しており、通常の診療費に加えて、毎年の人間ドッグや各種検診についても、無料または大幅な割引料金で受診できるようになっているケースが多い。保険料は、会社側と被保険者(社員)とが折半して出し合う仕組みになっている。
昭和の高度成長期には、社員の平均年齢が低く、医療費の支出負担が少ないため、企業は健保組合を独自に運営したほうが保険料率を低く設定して、充実した保険サービスを提供することができた。しかし、社員の高齢化が進むと、医療費の支出が嵩むようになり、組合の運営が苦しくなってくる。そこで健保組合を解散して、「協会けんぽ」に加入し直す企業も増えてきている。
日本の健康保険制度が無くなることはないだろうが、収入に乗じて算定される保険料率が高くなっていくことは容易に想像が付く。病気の人を、健康な人が支える、保険制度の原則からすれば仕方がないが、企業の健保組合では、社員の健康状態を良好な状態に維持するほど、医療費の支出を抑えることができる。
その点では、市町村が運営する国民的健康保険のように、高齢者の医療費を若い世代が負担するのとは異なっており、健康保険組合の運営モデルを改めて研究してみることは、新たな健康ビジネスのヒントになる。たとえば、若い人材が中心に集まるIT業界の健康保険組合は、他業界よりも好採算だ。
さらに海外では、医療費負担を引き下げる目的の、健康改善プログラムが各種開発されており、健康な人に対しては、病気がちの人よりも、何らかのインセンティブが与えられている。それらの仕組みを解説しながら、日本国内で38兆円か投じられている医療費を抑制するビジネスモデルを解説していきたい。
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■JNEWS会員レポートの主な項目
・健康保険組合の採算と運営モデル
・若い業界ほど好採算になる健保組合の特徴
・医療費負担を下げるためのビッグデータ分析
・健保組合が提供する健康インセンティブとは
・従業員向け健康プログラム開発への視点
・安定した雇用が期待できる医療・健康分野の新職種と専門人材
・医師との提携により価値を高める健康ビジネスの立ち上げ方
■この記事の完全レポート
・JNEWS LETTER 2014.7.24
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