ビジネスモデル事例集
  
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  ネット通販の中でも、売り方が難しいと言われるのが「靴」の分野。返品OKを前提とした売り方では、常連客になるほど返品率は高くなる。しかし、靴をネットで買いたいというニーズは大きいことから、新たなビジネスモデルが登場している。
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靴のネット通販にみる
ビジネスモデルの転換とスワップサービス
written in 2012/8/6

 ネット通販で買いにくい商材の一つに、サイズ合わせが難しい「靴」がある。しかし、お気に入りの靴を探すことは、実店舗でも難しくて、デザインが気に入った靴を見つけても、自分の足に合うサイズの在庫が無いことはよくあり、デザインとサイズの両方を指定して注文できるネット通販への要望が高いのも事実だ。

そうした消費者から支持されているのが、靴販売の専門サイト「Zappos(ザッポス)」で、1999年に米国で創業した後、2008年には年間10億ドルの売上を達成、翌年にはアマゾンが買収したことで話題を集めた。

特徴的なサービスといえるのが、「A 365-day return policy」という返品制度で、配達された靴を試し履きして、気に入らなければ送料無料で返品することができる。その有効期限は、靴を購入した日から 365日以内と長期に設定されている。ただし、靴は購入時と同じコンディションで、オリジナルの箱も揃っていることが条件で、履き古した靴などは対象外になる。

この制度を上手に利用すると、サイトで気になった靴を何点か注文して、実際に届いた商品の中で、本当に使いたい靴だけを1点選び、残りを返品するという方法で買い物ができる。そのため、同サイトの返品率は平均が35%前後で、さらに常連客になると50%まで上昇する。

同サイト売上の75%は、こうした返品制度を積極的に活用するリピーターによって支えられているため、売上は伸びても、返品対応を中心とした経費の負担も重くて、2008年の時点で純利益は1%しかなかった。株式上場を目指すのではなくて、アマゾンの傘下に入ったのにも、そうした事情があった様子。


通販サイトが返品制度を導入することは、売上を伸ばしてリピーターを増やすことに役立つが、「薄利多売で返品率も高い」ということであれば、どうしても採算が合わない。

そこで、小売業のビジネスモデルを変更して、定期購買制のサブスクリプション・ショップとして、靴をオンライン販売するショップが増えている。2012.4.2号で紹介した「SoleSociety」は、月額49.95ドルの会費を払うと、自分が事前に登録したファッションスタイル(クラシック、エレガント、ボヘミアン、モダンなど6種類)に合うデザインの靴が、毎月1足ずつ送られてくる。



また「ShoeDazzle」も同様に、月額39.95ドルの定期購買制で靴を販売するサイトだが、各会員が好みのファッションスタイルにカスタマイズした「ショールーム」を設定しておくと、新作の靴が何点か毎月掲載される。その中から希望する靴を指定すると、自宅へ発送される仕組みになっている。ショールームに気に入った靴が無ければ、当月の購入はパスすることもできる。



どちらのサイトも、届いた靴が気に入らなかった場合の返品制度を設けているが、定期購買制は、毎月安定した数の靴を売ることができるため、返品の負担や損失を差し引いても、黒字化できる収益構造になっている。靴の調達については中間業者を省いて、高級ブランドの靴を生産しているのと同じ工場へ直接発注しているため、月額数十ドルの会費でも、百貨店で売られているのと同等の靴を毎月提供することができる。

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この記事の核となる項目
 ●自動車返品キャンペーンの販促効果とカラクリ
 ●製薬会社の返品保証によるリピーター獲得策
 ●返品対応の代行とリバースロジステック市場
 ●靴のネット通販にみるビジネスモデルの転換
 ●靴の定期購買(サブスクリプション)モデル
 ●返品商品の再流通ビジネスにおける商機
 ●買い物に失敗した商品を交換するスワップサービス
 ●定期購買制で躍進するサブスクリプションショップの成長軌道
 ●眠れるモノ資産の価値を再生する新卸売りビジネスの役割
 ●不況と環境から生まれた「スワッピング」の新たな価値観
 ●お金を使わずに“わらしべ長者”を目指すバーターショップ
 ●70兆円を超す担保品の換金ビジネスに向けた商機と発想
 ●市場から抹殺される返品商品を専門に取り扱う裏の流通業者


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