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株価対策としても取り組みが急務になる
企業の社会貢献活動
written in 2003.6.27

 金融機関を中心とした大企業が多額の不良債務を抱える中で、役員が億単位の退職金を受け取っていることに一般消費者からの非難が集中している。庶民感覚とはかけ離れた経営陣への報酬制度は、不景気の時代には消費者からの反感を買い、それが株価下落へとつながることもある。

ところが、この種の話題の中で一つだけ消費者に好感を与えたのが、ソニーの大賀名誉会長が退職慰労金(約16億円)を全額、長野県軽井沢町に音楽ホール建設のために寄付するというニュースだ。大賀会長の勇断が全国からの賞賛を浴びたことは言うまでもないが、結果としてソニーという会社のイメージを向上させる効果も与えた。企業が稼ぎ出した利潤の一部が社会貢献のために使われることに対して消費者は温かい目を向ける。

企業に向けた社会的責任投資

 企業が果たすべき社会的な責任のことを、欧米では「CSR(Corporate Social Responsibility)」と呼んでいて、雇用の創出やメセナ活動、非営利団体・ボランディア団体への寄付や協力などの様子が“企業に対する評価”として重視されるようになってきた。企業に資金を提供する投資家達(機関投資家や個人投資家)は、これまで企業が四半期毎に発表する決算や財務状態を評価をして投資先を決めてきたが、近年では「社会的な信用や評価」の高い企業に対して積極的な投資をおこなう傾向が強くなっている。つまり社会貢献に目を向ける企業ほど、株価も高く評価されることになる。

このような企業がおこなう社会貢献活動に目を向けた投資活動はSRI(Socially Responsible Investment)」と言われて、米国ではその市場規模が約300兆円にもなる。これは主要な資産運用額の1割程度に相当し、個人投資家や保険会社・年金基金などの機関投資家が積極的な SRI投資を行っている。逆に、タバコやギャンブル、アルコールや武器などに関連した企業への投資は控えられる傾向にある。これからの企業は、単純に利益を追求するだけの団体ではなく、社会活動を牽引する役割を担って、様々な社会的責任を果たしていくことが最終的な業績へと結びつくことになりそうだ。

この記事の核となる項目
 ●企業が従業員のボランティア活動を支援する「社員貸出制度」とは
 ●社員と同額の寄付をするマッチングギフト制度の仕組み
 ●企業がNPOと手を組む社会貢献マーケティングによる販売戦略


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JNEWS LETTER 2003.6.27
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