小売業の世界では古くから「2月と8月は売れない」という定説が広まっているが、この傾向はデータからも裏付けられている。日本百貨店協会が公開している全国の百貨店における2001年の月別売上総計の推移では、はやり2月と8月が最も売上が落ち込んでいる。
《全国百貨店の月別売上推移(2001年)》
2001年1月… 7,131億円:**************
2月… 5,851億円:***********
3月… 7,541億円:***************
4月… 6,846億円:*************
5月… 6,704億円:*************
6月… 6,707億円:*************
7月… 8,393億円:****************
8月… 5,631億円:***********
9月… 6,227億円:************
10月… 7,021億円:**************
11月… 7,436億円:***************
12月…10,230億円:*********************
■日本百貨店協会
小売業者が設備投資をする上で、この指標から学ぶ重要なポイントは、2月と8月の売上が低下している反面、お歳暮と正月準備とが重なる12月の売上のみが突出して、その差が2倍近くに開いている点だ。
新しく拡充する設備の容量は、ピーク期の需要量に合わせることが基本となるため、1年を通して繁忙期と閑散期との売上格差があまりに激しい場合には、ほんの1〜2ヶ月の繁忙期のために増強した設備や人員が、閑散期には遊んでしまって通年の利益を圧迫してしまうことになる。
この状況を改善するためには、各月の売上格差が縮まるように閑散期の売上を高めて、設備の稼働率を上げる努力をすることが大切なる。繁忙期と閑散期それぞれの時期は、扱う商材によって異なるが、特に食品分野では季節変動が激しいと言われる。
また、コンビニ業界では、百貨店業界の12月のように突出して売上が上昇することはないが、逆にこれが後方業務の設備投資をしやすくしていて、最終的な利益率を高めている。
《全国コンビニエンスストアのの月別売上推移(2001年)》
2001年1月… 5,160億円:**********
2月… 4,764億円:*********
3月… 5,517億円:***********
4月… 5,410億円:***********
5月… 5,545億円:***********
6月… 5,513億円:***********
7月… 6,337億円:************
8月… 6,113億円:************
9月… 5,556億円:***********
10月… 5,612億円:***********
11月… 5,410億円:**********
12月… 5,836億円:***********
■日本フランチャイズチェーン協会
物流を中心としたバックヤード部門の負担と稼働率からみれば、各月の売上水準をなるべく平均化してから、設備拡充のための投資をしたほうが賢明だといえる。年間売上高の目標だけを追いかけて設備投資を焦るよりも、毎月の設備、人員の稼働率を細かく分析してみてから、自社で後方業務のための設備を持つか、外部に委託するのかを判断するのも重要な経営センスといえるだろう。
■JNEWS LETTER関連情報
JNEWS LETTER 99.6.15
<毎月の売上変動を予測する季節指数の求め方>
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