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取引先が倒産寸前になった場合の 売掛金回収方法とは
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written in 1999.6.29
順調に成長してきた企業が階段を踏み外すように資金繰りを悪化させることがある。これは、取引先企業の経営が悪化したり倒産にまで至ることで、売掛金が回収できなくなった場合に起こりやすい。
売掛金は相手企業が倒産してしまってからでは大変な手間と時間をかけても100%回収することは、ほとんど不可能。しかし倒産寸前にまで追い込まれている企業から売掛金を現金で回収してくることも、同じく不可能に近い。
この様な状況で売掛金を抱える企業が不良債権を抱えないための秘策として、2つの方法が存在している。これを実際に活用できるかどうかは案件によって異なるため、一概に判断することはできないが、経営者の基礎知識としてノウハウだけは覚えておきたい。
秘策1:相手企業から商品を買う
A社はB社と取引関係にあり、B社に対する売掛金を常に抱えている。お互いの商売が順調な間はこの状態で両社ともに成長していけるが、B社の経営がおかしくなり資金繰りが悪化すればA社への支払いは遅れてA社側の資金繰りまで悪化させていく。B社が倒産してしまえば、A社が抱えている売掛金を回収することはかなり難しい。
そこでA社が倒産寸前のB社に対しておこな、売掛金回収策としては「B社から商品やサービスを買うこと」がある。B社が保有する在庫の中に有益な商品を見つけて購入する。その際の購入代金はA社側が抱えている売掛金残高から相殺することができるために、これで商品購入分の売掛金が解消したことになるのだ。
◎A社(B社に対する売掛金=500万円)
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↓
◎B社在庫の中から商品(100万円)を購入
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↓
◎商品購入代金は売掛金残高から相殺
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↓
◎A社の売掛金残高は400万円に減少
秘策2:売掛金債権を他社に譲渡する
倒産寸前ともなればB社に優良な在庫が揃っている可能性は低い。そこで次の策として自社(A社)の債権を他社に譲渡する方法を考える。例えばB社はC社とも取り引きしていて、C社はB社に対して月末までに支払わなければならない買掛金400万円があるとする。
この場合、A社が保有する売掛金 400万円分の債権をC社に譲渡すれば、C社では同額の買掛金(債務)と相殺できるためにB社への支払い義務はなくなる。その後、A社はC社から債権譲渡分である 400万円の支払いを受ければ売掛金は回収できたことになる。ただ実際にはC社側のメリットを引き出すために債権譲渡額は売掛金額100%の金額(400万円)でなく、値引き(例えば 80%の320万円)した金額になることが多い。
なお、債権譲渡の手続きはA社がB社に対して「債権譲渡通知書」を内容証明郵便を送付するだけで済む。
◎A社 ---> B社への売掛金400万円をC社に債権譲渡
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↓
◎C社 ---> B社への買掛金400万円と譲渡された債権400万円とを相殺
(C社はB社に対する支払い義務がなくなる)
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↓
◎A社 ---> C社から債権譲渡額の80%(320万円)を受け取る
もちろんこれらの方法はB社が倒産寸前で、このままではA社の売掛金が不良債権化しそうな緊急時のみ利用されるものだ。起業家としては連鎖倒産を防ぐための対策法として頭の中に入れておきたいノウハウの一つである。
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これは正式会員向けJNEWS LETTER 1999年6月29日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料(個人:月額500円、法人:月額1名300円)による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。
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