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起業家になるためのノウハウ集


はじめての小売店舗経営に成功するためのノウハウ集

Written in 1998.7.15



 「自分の店を持つこと」は独立希望者の誰もが夢に描くこと。しかし現実の新店舗開設までには大きな困難と挫折が山積みされていて、これらすべてを解決していかなければ店を継続して維持していくことも、利益を出すことも難しい。「この商品は売れる」という確信のもとに出店し、商品を仕入れ、それなりに売れたとしても、事業として成功するケースは非常に少ない。

 「売れる」のと「儲かる」のは違うことだという事をしっかり認識するためにも、成功している小売業のツボを紹介しながら、経営上のネックとなる問題点とその解決法について考えてみたい。




失敗する小売店舗の要因とは


 数年以上の中長期サイクルで上手に流れていない様々な事業例(小売業)を分析してみると、その要因として「家賃」「仕入」「在庫の不良化」の3分野で的確な戦略が組まれていないことに気付く。多くの事例を扱っていると前もってトラブルが予知できるようになるものだが、初めて商売を手掛ける人にとっては「1回は失敗してみないとわからない」商売のツボだ。

<家賃>
 店舗の出店をするにはそれなりの資金を必要とし(権利金、敷金)、それを維持するための家賃が必要になる。人通りの多い繁華街のビルのスペースを借りるにはかなりの賃料を覚悟しなければならない。

<仕入>
 店内にある程度の商品を抱え、さらに流行の先を読んだ商品を仕入れておかなければならないため、かなりの数量の仕入れをしなければならない。仕入方法にしても仕入先、ロット(数量)、決済方法によって条件が大きく異なるために的確な「プロの仕入」をしないと開店から数ヶ月で資金繰りが悪化して閉店に追い込まれるケースも珍しくない。

<在庫>
 小売業では商品の流行や季節性があるため、ある程度の不良在庫を覚悟しなければならない。100%の商品を売り切ることは不可能だと考え「ロス率を如何に低く抑えるか」を考慮した経営をすることが大切。

 これらの事情を考えると事業者は事業計画段階の予想以上に資金の負担を強いられることがわかる。そこで各課題に対しての対処法を考えてみよう。




店舗賃料に関する対策


 小売店の支払い家賃にはいくつかの種類がある。その中でも売上額に応じた歩合契約制ビルのテナント業者として出店できれば、賃料の当座の支出は繰り延べることが可能になる。この様な契約体系は百貨店(たとえばパルコなど)でよく採用されている方式で、基本使用料、電気水道、共益費の支払いは定額の支払いだが、それ以外の家賃本体については店舗での売上額に対して数パーセントのロイヤリティを支払う仕組みになっている。

 そのため同一ビル内のスペースを利用していても賃料はテナント毎に異なり、売り上げが少なければ賃料の負担が少なくなり、多ければ負担が多くなることになる。また、初期出店時の負担(権利金、敷金)が普通のビルに比べてかなり少ないため初期出費の負担を回避でき、開店当初の資金繰りは通常の貸店舗よりも楽だ。

 しかしビル管理側は当然、売上の管理を毎月するために、開店から数ヶ月経っても実績の上がらない業者は撤退を迫られることになる。またある程度の実績を上げていても売上状況の変化に応じて、売り場面積の削減を余儀なくされることもあるので、実績を上げ続けなければならないプレッシャーは常に存在する。




成功しやすい商品仕入れノウハウ


 小売業者が注意しなければならないのは、「売り上げがいくらか」ではなくて「利益がどれくらいでるか」である。売上額が多くても利益率が低くては資金の負担だけが増えて経営が苦しくなってしまう。

 パソコン販売のように「単価が高く利益率が低い」商売は、売上額が大きくてもあまり儲からないケースも多い。長年順調に経営していてもたった1回の仕入ミスが資金繰りをおかしくさせてしまうこともあり、資金的に余裕のない新規開業者が手を出すにはリスクがある。

 そこで新規開業者が初めての物販として扱いたいのが「単価が安くて利益率が高い」商売。何度か失敗しながらでないと仕入のコツを覚えられないことを前提にすれば、1回の仕入ミスが致命傷にならなくて済むし、不良在庫になっても他ルートでさばきやすいという性質がある。このノウハウで成功している具体的業種として「低額アクセサリー販売」がある。

 アクセサリー販売は利益率が高いことで知られている業界。特に中、高校生をターゲットにしたアクセサリーは、数千円程度と商品単価は低いが利益率は思いの外高く、一般的な仕入ルートでも30%から35%くらいの粗利がある。更に最近ではタイやマレーシアなどのアジア諸国、メキシコなどの中南米において日本向けのアクセサリーメーカーも多数存在しているため、それらの中から女子高生向けしそうな価格が安くて、おもしろい商品を買い付けてくるアクセサリー販売業者が成功している事例が目立つ。

 この場合、旅費や関税配送費の負担はあるが、買い付けノウハウがしっかりしていれば原価率25%以下での商品化が可能。つまり販売価格に対して75%以上の粗利益が見込めることになる。

 価格破壊が進行してナショナルブランド品の利益率が低下している時代にも、知恵をつかうことで原価率30%以下で売れ筋商品を作り出している経営者も数多く存在している。こんな商売のやり方を貫くことで資金繰りにかなり余裕ができ、今後の仕入れの資金の充実させることができるのだ。




不良在庫への対策


 女性向けのアクセサリー市場は流行の移り変わりが激しく、流行に乗った売れ筋商品であっても、タイミングを逃してしまうととたんに不良在庫になってしまうリスクがある。この不良(一時期前までは優良だった)在庫資金を早めに回収して次の仕入れに回さなければ資金繰りがアッという間にショートしてしまう。

 実はこの不良材庫処理ノウハウが物販業の中で一番難しく、失敗する経営者のほとんどは不良化した在庫の優れた換金方法を持ち合わせていないものだ。一方、成功店では「不良在庫を換金化するノウハウ」には、それぞれアイディアや施策を凝らせている。

 定番手法としては店舗の中にバーゲンコーナーを作ってそこで販売するケースが多いが、これはうまく運営しないと商品全体の価格ダウンを招きかねない。同一店舗内での大幅割引は客集め戦略にもなるがリスクも大きい。

 そこで最近注目されているトレンドは、別店舗としてアウトレット専門店を作り、ここで不良化した在庫の資金の回収を計る方法である。女子高生向けアクセサリーのように高利益率低価格商品ならば不良在庫化したものを本店舗からアウトレット店に回して、利益率を削ぎ落として販売してもまだ儲けがあるという。

 中高校生向けの商品の場合には「下北沢や渋谷といった彼らが集まりやすい場所ではあるが、大通りからは少し離れた場所」に立地し、あまり宣伝はせずに本業の店舗との競合を避けるようにして、バランスをとっているようである。

<新規開業者が成功するための小売業・経営ノウハウ(まとめ)>
●売上歩合制による店舗賃貸契約
●高利益率・低価格商品の販売
●海外ルート開拓などによる仕入原価率を低下させる努力
●アウトレット専門店設置による不良在庫換金化

 小売業は資金の回収が遅くなりがちであるため、当面の仕入れ以外の経費支出をできるだけ抑え、さらに在庫の量を少なくすることが事業を成功させるポイントとなる。原価率が高い在庫がデットストックとなってしまうと今までの利益が簡単に飛んでしまうことになる。原価率を少しでも低くして(原価率が低ければ多少不良在庫があっても致命傷にはならない。)できるだけ現金化することが事業者に求められる。

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