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子育て支援企業が形成するコミュニティと 次のネット戦略
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事例:ゴーゴー育児ドットコム
written in 2002.5.20
個人や企業運営も含め、育児関連のサイトは多数存在する。最近の核家族化傾向や近所に子育てについて相談できる人がいないといった理由から、これらサイトに困ったときの解決方法を求める母親が増えている。
電通「デジタルママ実態調査2000年」では、子供をもつ母親の7割が、育児関連サイトを利用しているとの結果が出ている。報収集だけでなく育児に必要なものをネットで購入すれば、外出し商品を探しまわる手間が省ける。オンラインショップを利用して調達する利用度は高い。
■育児関連の悩み相談もインターネットで(平成13年度 国民生活白書)
■電通「デジタルママ実態調査2000年」
育児サイトでの差別化
子供服やファミリー関連商品の企画〜販売を手がけるミキハウスの関連会社「ミキハウス子育て総研」では、2000年12月に「ゴーゴー育児ドットコム」を設立、妊娠・出産・子育てを支援する情報を提供し、「日本の子育てをもっと楽しく、もっと明るく!」をモットーにしたオンラインコミュニティを運営している。
数ある育児サイトの中で、どのようにしたら独自の特色を出してゆけるかを念頭に運営されている。同サイトの会員数は現在16,000名、無料にて登録ができる。
■ゴーゴー育児ドットコム
体に良い菓子パックをオンライン販売
子育てにおいて母親の関心の高いもののひとつとして、子供に与える「おやつ」がある。成長期の幼児に栄養価の高く、バランスが取れる菓子を与えたいと願う母親の気持ちは強い。
一方、健康を意識した食品を販売するサイトでは、幼児向けの菓子類を扱っているところもあるが、種類が少ないというのが現状だ。これまでの育児サイトやショップになかったサービスを展開できれば、母親のニーズを満たすことができる、という考え方もできる。
そこで“ゴーゴー育児ドットコム”では、子供への栄養を考慮したお菓子セット「エコおやつパック」のオンライン販売を開始した。育ちざかりの子供の栄養を補助するためのさまざまな菓子が詰め合わせとなっている。 3,000円のセット2種と 5,000円のセット2種の合計4種類が選べる。セット内の菓子は、中小のメーカーからのサンプリングから厳選されたものをパッケージ化している。
■エコおやつパック
エコおやつパックは、5月にネット限定で発売開始されたばかりであるが、今後の売れ行き状況によっては、系列のレストランなど、リアルの店頭にて販売されることも視野に入れている。
子育てを専用のサポーターに相談
一般的に育児サイトでは、育児の悩みやわからないことを相談できる Q&Aや掲示板等が活発になる。“ゴーゴー育児ドットコム”でも無料にて相談できる「個別の子育て相談」「個別の医療相談」「エコの相談にお答えします」コーナーを設置している。
しかし無料の相談サービスでは、1質問1回答、その場限りで終わることが多く、また回答を得られないケースがあったりする。運がよければ適切な回答を得られるが、当たりはずれがあるわけだ。
そのような問題を解決するものとして同サイトでは、質問者に密着し信頼の高いサポートが受けられる、有料の「マイサポーターサ−ビス」を開設している。
■マイサポーターサ−ビス
こちらでは、専属のアドバイザーがつき、メールにて親身になって回答する。期間は6ヶ月間で 3,000円。期間中は何度でも相談が可能(目安は週に1〜2回)ネット上での“子育て版・ホームドクター”をコンセプトにしている。
会員登録後は匿名にて相談できるため、プライバシーは保護され、安心してどんなことでも躊躇せず質問できることがメリットである。相談者からの質問は、夜泣き、しつけに関することなど、一度のやりとりだけで終わらないものも多い。育児に忙しい母親は、メールで相談する相手がいることで、育児ノイローゼにならずストレス発散の役割もあるようだ。
月額料金に換算すれば 500円であるが、それで子育ての心強い支援者を得られるのであれば、安いサービスといえる。現在の相談会員数は約100名とのこと。
<●ボランティアで形成される子育てサポーター>
サポーターは子育て経験のある先輩の母親をメインに構成されているが、高度な専門知識が必要な相談には、専門家や医師が回答する場合もある。サポーターはすべてボランテイアによって構成されている。
サポーターとの相性が悪かったり、対応がうまくいかなかった場合には、期間内に1回だけ担当を変更してもらうこともできる。さらに6ヶ月のサービスが終了した後も、継続してサービスを受けたい相談者には、再契約が可能だ。
ミキハウスが目指すインターネット戦略
もともと“ゴーゴー育児ドットコム”は、収益を目的としたものではなく、“ミキハウス子育て総研”が主眼においている「子供を軸とした家族サービス」のひとつとなっている。
同社の主な収益源となる事業としては、50歳以上を中心とした中高年・老人向けパソコンクラブがある。ここでは、老人が孫とパソコンでやりとりできるようになることを目指し、楽しい雰囲気作りの中でパソコン学習ができるようになっている。
「母親」と「子供」そして「祖父母」がインターネットを介して結ばれれば、その“ファミリー”から派生するビジネスチャンスを、様々な商品やサービスで取り込むことができるわけだ。
核家族化が進む中、孫と祖父母とのコミュニケーション方法も変化している。孫とメールができるとあれば、パソコン学習も楽しみながらできると考える高齢者は多いようだ。少子化が進行していく中、これからの子供マーケットを拡大させる鍵は“祖父母”が握っていることは間違いない。
■ミキハウスぱそこん倶楽部
■JNEWS LETTER関連情報
JNEWS LETTER 2002.2.13
<団塊世代のライフスタイル変化が教える次のビジネステーマ>
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これは正式会員向けJNEWS LETTER 2002年5月20日号に掲載された記事のサンプルです。 JNEWSでは、電子メールを媒体としたニューズレター(JNEWS LETTER)での有料(個人:月額500円、法人:月額1名300円)による情報提供をメインの活動としています。JNEWSが発信する情報を深く知りたい人のために2週間の無料お試し登録を用意していますので下のフォームからお申し込みください。
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