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問題を抱える農産物の既存流通から考える
新ビジネスの視点
written in 2002.6.15

 「生産者の顔が見えない農産物」から「顔が見える農産物」へと消費者ニーズは動いている。しかしこれを実現するためには古くから根付いている農産物の流通ルートを変革する必要がある。現在流通している農産物の約90%は(生産者→農協→卸売市場→卸業者または小売業者→消費者)という長く複雑な経路をだとるために、消費者の手元に野菜や果物がたどり着くまでには、生産者の痕跡はかなり薄められてしまうのだ。また取引価格面でも、生産者は安い価格で出荷し、消費者は高い価格で購入しているのが現状。これでは中国などからの安い輸入農産物に太刀打ちできない。

ユニクロ(ファーストリテイリング社)が新たな事業テーマとして食品事業(農業)に着目したことが話題になったが、農業分野の深く込み入った業界構造にメスを入れることは、ベンチャービジネスとしてもおもしろいテーマではある。

農業共同組合に依存した既存流通の問題点

 農業協同組合(農協)が国内流通の中で占めるウエイトは大きく、強い影響力を持っている。そもそも農協本来の役割は、零細農家達の活動を支援する相互扶助組織だが、時代を経て政治や行政との癒着も深まり、協同組合組織としては肥大化しすぎて悪い影響も出はじめているのだ。

《農協の主な役割》

         ┌───────┐
         │ ●生産機能 │
         │・農産物の生産│
      ┌─→│ を支援、指導│←─┐
      │  └───────┘  │
      │             │
      ↓             ↓
  ┌───────┐     ┌────────┐
  │ ●流通機能 │     │ ●金融機能  │
  │・農産物の流通│←───→│・農家の機材購入│
  │  販売を支援│     │ 資金調達を支援│
  └───────┘     └────────┘

本来は、協同組合に農家が加入することによって、他の販路や機材購入ルートよりも低コスト経営ができるはずであったものが、現在では“農協ルート”ばかりが大きくなりすぎ、高い集荷手数料がまかり通っていたり、不透明なリベートや奨励金の存在も広がり、農協を経由した多くの取引が割高となっている。また「金融機関」としての農協の存在も貯金量60兆円を超え、大きくなりすぎた。土地が暴騰したバブル期には、これら農家から集めた貯金の一部が住宅金融専門会社(住専)に融資され、不良債権化したことは記憶に新しい。


この記事の核となる項目
●農協に依存した販売システムからの脱却
●インターネットによる販路開拓の着目点
●こだわりの農産物を直販する専用ショッピングモール

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JNEWS LETTER 2002.6.15
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