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起業家になるためのノウハウ集


株式時価算出法から考える共同出資型ベンチャー企業の落とし穴


 ベンチャービジネスを立ち上げる際には友人達と共同で会社を設立することがよくある。例えばA、B、Cという3人の仲間で一人100万円ずつ(5万円額面の株式20株)の出資により資本金300万円の有限会社を設立したとする。3人の出資者が仲良く経営をしているうちは問題ないが、会社が順調に成長し大きな売上げを上げられるようになった段階で、出資者の中の一人C氏が何らかの事情により会社を離れることはよくあるケース。

 この様な場合に会社の経営権を社内で確保するためにはC氏の出資分の株式を買い戻す必要があるが、その際には会社立ち上げ時の出資分100万円の金額でC氏の株式を買い戻せるといった簡単なものではなくなる。会社の売上額や資産状況に応じて、当初1株5万円だった株式が何万円の評価に上がっているのかを算出して、相当額の金額(時価)で買い戻すことが必要となるのだ。

それではでは、株式の時価とはどのように算定されるのだろうか。

 上場されている会社であれば株式取引相場があるので問題ない。問題とされるのは非上場会社(中小企業・ベンチャー企業)の株式時価である。

【株式時価算出法】
税法上の株式の時価の算定方法について説明しよう。

(1)<類似業種比準価額方式>
[算出公式]
             a   b   c
            ───+───+───
             A   B   C
株価=類似業種の株価×─────────────
                 3

A─→類似業種の配当    a─→会社の配当
B─→類似業種の利益    b─→会社の利益
C─→類似業種の純資産価額 c─→会社の純資産価額


 類似業種の株価、利益、純資産価額は国税庁が毎月更新した数値を公表している各業界の平均値と考えて良い。これに対して、自社の決算による配当、利益、純資産価額(これについては後で説明する。)がどれくらいの割合であるかによってその会社の株価を算定する方法である。

 上記3つの要素(a〜c)のいずれかが同業他社に比べて大きければその会社の収益力、資産価値は大きいものであると判断して株価も高くなる。逆の場合は、株価は低くなる。

(2)<純資産価額>
[算出公式]
 株価=(資産の合計−負債の合計)÷株式数

 ただし資産の価額は、貸借対照表上の金額ではなく、時価で換算した金額で計算する。例えば、帳簿価額100万円、時価3,000万円の場合は3,000万円で計算する。これは、実際にすべての資産を換金し、すべての負債を返済して株主に残る金額を株価とするという考え方である。

(3)<配当還元価額>
[算出公式]
    その株式の年配当額
株価=───────────
       利子率

 これは、配当金は株価のおおむね利子率分程度配当されているであろうと仮定して株価を算定する方法である。税法上はこの利子率は、10%と定められている。この10%という数値は、長い間変更がなく現在の金利等から勘案しても正しい数値とはいえないのだが現行法上はこの割合で決まっている。正しい株価算定のためには、現在の金利と連動させて適正な利子率を用いて算出すべきであろう。

※税務上の株価の算定式は実際には多少複雑になるが、わかりやすい算式にするために簡便的に表示した。

【どの方式を採用すべきか】
 それなりに成長した会社の場合、最も株価が高く算定されるのはおそらく(2)によって算出された数値だろう。その理由は、蓄積された繰越利益があること、古くから所有している土地、株式の含み益があることに起因する。

 一方(3)の数値では株価はかなり安く抑えられる。その理由は、日本では株価に対する配当金の金額は市場金利に比べてかなり低いことが通常で、金利を分子に持ってくると実際の会社の力量よりも低い価額で算定されてしまうことになる。

 このため売るほうは純資産価額で売却することを望み、買い取る方は、配当還元価額で売却することを望む。この点で両者の合意が得られずトラブルの発展するケ−スが多いのである。

 実際の判例をみると、株主が零細株主である場合は配当還元価額に近い金額で、筆頭株主あるいはそれに準ずる大株主であれば純資産価額に近い金額を株価とするという判決が出ている。株価を算定する時は、自分が会社にとってどの様な立場の株主であるかが非常に重要になってくる点に注意を払っておきたい。

【共同出資の落とし穴】
 会社設立の際には有限会社で300万円、株式会社で1000万円の資本金が必要となる。100%自己資金での調達が難しい場合には共同出資により資本金を集める必要があるが、他人資本が入ることは会社が成功した際にも前述した株式買い取りの点で大きな爆弾を抱えていることになる。

 もちろん事業コンセプトで結びついたパートナーとの共同出資ならば問題はないが、単なる甘い出資話に誘われて、「自己資金で300万円の有限会社を設立する予定のところを、共同出資により無理して1000万円の株式会社を設立してしまった。」というのはよくある話。

 とりたてて大きな設備投資を必要としないSOHOビジネスの場合には共同出資の株式会社よりも独自資本の有限会社で独立起業したほうが、成功した際の自分自身へのメリットが断然大きいことを覚えておきたい。


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